瞬間、獄寺さんの叫び声と同時に山本さんが間合いを詰め、そして…、
「時雨蒼燕流、八の型…――“篠突く雨”」
刀は敵の身体へとのめり込こんだ。「ぐあっ!」悲鳴を上げながらγさんの身体が中を舞う。
ドサリと音を立て、地面に倒れ伏すγさん…。
その光景を私は呆然と見つめていた。――お二人が勝った、の…?
「だから言っただろうが。お前は……黙ってオレ達に守られてろって」
その言葉にハッとして獄寺さんを見ると、彼はムスッとしながら視線を逸らした。その隣では山本さんがVサインを作る。
「やったな、獄寺」
「…たりめーだ…」
「オレ達二人で敵の大将を倒したって言ったら、ツナ達驚くぜ♪」
「この位で逆上せてんじゃねー。……まあ、オレには10代目に報告する義務があるけどよ…」
何時も通りの談笑(?)を交わしながら、こちらに歩み寄って来る獄寺さんと山本さん…。そんな二人を目にした瞬間、私は全身の力が抜け、その場に座り込んでしまった。
(本当に…勝ったんだ)
嬉しくて…、ホッとして―…。涙が込み上げて来る。二人が無事で本当に、本当に良かった。
ホッと安堵の息を零す私だったけれど戦いはまだ終わっていなかったのだ。何せ相手はミルフィオーレ第三部隊・隊長『電光のγ』なのだから。
バチバチバチッ。
背後から響く電気音に私はハッと後ろを振り返った。瞬間、私の横をビリヤードの玉が通り過ぎ、二人の足下に落下。そして、更に威力の増した雷電が二人の身体を包み、
「「うわあぁあっ」」
境内に二人の叫び声が響く。私は動く事も出来ずに倒れて行く二人をただただ見つめるだけ…。――まるでスローモーションのようなその光景。
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