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60.最強の守護者 **


「勝手に話進めてんじゃねーよ…。――そんな取引、誰が許した」

「…オレ達は了解した覚え何てないぜ?」



視線の先には武器を構え、こちらを――否、γさんを睨みつける獄寺さんと山本さんの姿…。そんな二人にγさんは「やれやれ」と肩を竦める。



「折角お姫様が身を挺して守ってくれたって言うのに、その思いを無碍にするのか?お前達は」

「――んな事誰が頼んだ!オレ達から頼んだ覚え何てねーんだよっっ」

「…そうだな。確かにお前達の言う通りだ。――だが、お前達の大事なお姫様は既に俺の手中にあるんだよ……諦めな」



γさんはそう言い放つと、私を抱き締める腕に更に力を込めた。――それを見た山本さんの瞳がスッ…と細められる。



「その手…離せよ」

「嫌だと言ったら?」

「…ぜってー取り返す」



山本さんの返答に、ニヤリと口角を吊り上げるγさん。――この人、二人を挑発しているんだ!



「駄目です!獄寺さんっ、山本さん…っ」

「うるせー!!てめーは黙って見てろっっっ」



獄寺さんが苛立たしげに言葉を吐き捨てる。けれど、その口元が「名前」と微かに動いたのを私は見逃さなかった。



(名前で……呼んでくれるんですか?)



大きく瞳を見開き、獄寺さんを凝視する私…。そんな私に、獄寺さんは一瞬だけ微笑みを向け、



「――お前は黙ってオレ達に守られてろ…」



そう告げたのだった。今の台詞には覚えがある。だってその台詞は…。





「お前は――名前は黙って俺達に守られてろ」






『10年後の獄寺さん』が、私に言ってくれた言葉と同じだから…。



「どうやら、アンタとの取引は無効にしなきゃならねーみたいだな」



不意に私の肩を抱いていたγさんの腕が離れる。
そしてマーレリングに炎を灯し、彼は再び空高く舞い上がった。その足下には…雷属性の炎。



「戦う前から勝ち負けの決まった勝負に何て興味はないが…良いだろう。――相手をしてやる」

「ほざいてろ!!――山本、連繋で叩くぞっ」

「嗚呼、待ってたぜ!」


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あきゅろす。
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