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60.最強の守護者


「私は貴方に従います」



はっきりとそう口にした私をγさんは驚いたように見つめていた。けれどその瞳は直ぐに細められ、「成る程な」と愉快そうに口元を綻ばせる。



「…アンタ、初めからそのつもりだったろ?…自分を取引に使って、奴らを逃がす為に此処へ来た。――違うか?」

「………」



私は何も答えず真っ直ぐにγさんを見つめる。


だって、この方法しか思い付かなかったから。私が二人を安全に逃がす事が出来る方法は―…。


ミルフィオーレの目的は、歌姫(私)の中に封印されていると言う『大地の匣』を手に入れる事だ。つまり私を捕らえる事であって、殺す事じゃない。――でも、獄寺さん達は違う。彼ら『ボンゴレの守護者』はミルフィオーレに取って最も邪魔な存在…。故に彼らを生かして置く筈がないのだ。

だから私は必死に考えた。二人に危害を加えさせる事なく、相手を折れさせる方法を…。そして私が導き出した答え。それが――『歌姫(自分)を取引に使う事』だったの。



「まあ、良い。俺はお姫様さえ手に入れば文句はないからな。――アンタの願い、今回だけなら聞いてやっても良い…」

「…有難うございます」



良かった。これで獄寺さん達は殺されずに済む。

すんなりと承諾してくれたγさんに感謝の言葉を述べ、私はこの時初めて彼から視線を逸らした。
視線を落として足下を見ると、握り締めた拳が微かに震えるのに気付いて、私はふっと苦笑を洩らした。――自分の下した決断に後悔はない。ただ…恐かったのだ。





「僕の元においで――歌姫……否、名前ちゃん」






沢田さんの命を奪い、こんな未来に変えてしまった全ての元凶…『白蘭』。彼に、会わなければならない事が―…。



「礼には及ばない。こっちも上から『歌姫は絶対に傷つけるな』と言われてるからな。――アンタが大人しく捕まってくれるのなら、手間が省けて助かるんだ…」



γさんの腕が私の肩に回る。そして身体を引き寄せ、その胸に抱き寄せようとした瞬間だった。





「「待ちな/待てよ」」





二つの声がそれを遮る。私はビクリと肩を揺らし、声の主を振り返った。


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あきゅろす。
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