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59.歌姫の覚悟 **


二人の頭上に現れた一人の男性…。足下に雷の炎を点し、先程の男達と同様ブラックスペルの隊服を纏(まと)っいる。



「雨の守護者と嵐の守護者には間違いないようだが…、随分と写真より若い。否、若過ぎるな」



間違いない。この人がラル・ミルチさんが仰っていた――“電光のγ”



「ボンゴレってのは若返りの水でも飲んでんのか?まあ、良い。…だがお前らとやり合うと戦闘って言うより、お仕置きになっちまいそうだな」



電光のγは口元に笑みを浮かべながら、スッと静かに地面に降り立つ。

そんな敵の姿に獄寺さんはクッ…と唇を噛み締め、隣に立つ山本さんに小さな声で告げた。



「…この減らず口はオレが倒す。山本、おめーはアイツの傍に付いてろ」

「――アイツ、ねえ?…それはさっきから木の影に隠れている“誰か”の事を言ってんのか?」

「「!!!」」



瞬間、二人の肩がビクリと揺れる。その様子を見逃さなかった電光のγ…。彼はすう…と瞳を細めて、私が隠れている木の影へと視線を移した。



(――このまま隠れていても無駄だ…)



そう直感した私は、ゆっくりと足を踏み出す。



「ほう。アンタがボンゴレの歌姫、名字名前か」

「貴方はミルフィオーレ第三部隊・隊長――電光のγ…ですね」

「これはこれは…。お姫様に名前を覚えて貰っているとは光栄な事だ」



トクリ、トクリ。


先程まであんなに騒がしかった心音が、今は不思議と落ち着いていた。
私はそっと胸に手を宛て、静かに瞳を閉じる。



(――どうしてあんなに胸が騒いでいたのか、今なら良く分かる…)



きっと、この人と遭遇してしまうからだったんだ。私は知らず知らずの内に警報を鳴らしてくれた『自分の中の何か』に心からの感謝を述べる。



「アンタとはじっくり話をしたいんだが、――そこの二人がそうはさせてくれないらしいな」

「ったりめーだ!!!」

「どうせアンタもあの人の事狙ってんだろ?」

「まーな。そのお姫様を捕らえる事が、俺達に下された命なもんでな」



その返答を聞くなり、二人は私の元へ走り寄ると、武器を構え、守るように電光のγとの間に立ちはだかった。


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あきゅろす。
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