言われた通り、獄寺さんの元に駆け寄ると、彼は何度も何度もリングを匣に差し込んでいた。
「急がねーと10代目がっっ、――くそっ、何で何も起きねーんだ!!!!…壊れてんじゃねーか」
「…炎をイメージしろ」
敵と対峙したままの山本さんが、そう呟く。
「死ぬ気を炎にするイメージ…。覚悟を炎に変えるイメージだ」
「覚悟を炎に、だ?」
「お前なら出来るさ。――まあ、でも今回は俺に任せとけ。名前を無事アジトに連れ帰らなきゃならねーし、ツナの事も心配だからな。――お前も下がってろ、獄寺…」
獄寺さんは「格好付けやがって…っ」と悔しそうに拳を握り締める。
「今回だけは、てめーにくれてやる!取り敢えず見せて見ろ…っっ」
「おお♪」
そう言って一瞬だけ私達を振り返った山本さん。
二つの匣を手にし、
「これで決めるぜ」
匣を上空に投げた瞬間、
ボフン。
山本さんの身体がピンク色の煙に包まれた。
私と獄寺さんは呆然とその光景を見つめる。だって、だってこれって、獄寺さんが入れ代わった時と同じ――!!
「ん?何処だ此処?」
“10年前”の山本さん!
来援 雨の守護者
(どうしてこんな時に)
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