次の日。私は久々に清々しい朝を迎えていた。
こんなに気持ちの良い目覚めは何時振りだろう。
ん…と背伸びをして室内を眺める。今日から此処が私の部屋なんだ。そんな事を考えながらふと目をやったベッドの脇。
『おはよ。昨日はぐっすり眠れたか?まだ体調が悪いようなら、今日は一日ゆっくり寝てろよ。
いいな? 山本』
間違いなく山本さんの字だ。私はふふと笑みを浮かべて身仕度を始めた。
ゆっくりなど寝ている訳にはいかない。私も出来る事をやらないと!
一通りの仕度を済ませ、鏡の前に立つ。ペチペチ。頬を叩いて笑顔を作った。…うん、大丈夫。
「いってきます」
私は部屋を後にした。
◇ ◇ ◇
勢い良く部屋を出たのはいいが、一体何処に行けばいいのやら…。キョロキョロ辺りを見回し、廊下を歩く。取り敢えず適当な部屋に入って、誰か居れば聞いてみよう…そう思い、中に入ると、
「名前?」
そこには山本さんを始め、皆さん勢揃い。
どうやらこの部屋で正解だったらしい。
「お前もう平気なのか?…今日位ゆっくり寝てて良いんだぞ?」
「ありがとうございます、山本さん。でももう大丈夫です。それに私も出来る事をやらないと!」
グッと両手でガッツポーズを作る私を見て、山本さんは可笑しそうに笑う。
「確かにそうだな♪…よし!!じゃあ、お前も作戦会議に参加するか」
「作戦会議?」
コテリと首を傾げる私に、リボーンさんが詳しい説明をしてくれた。
今やミルフィオーレの魔の手はボンゴレ関係者だけでなく、彼らに関わりのある全ての人間にまで及んでいるらしい。それはつまり、この並盛に住む彼らの顔見知り全てがミルフィオーレの標的に成っているという事だ。
この並盛町は彼らの故郷でもある。顔見知りというだけなら、その数は並半端な数ではないだろう。その全ての人々がミルフィオーレに…命を狙われている何て――。
「…そんな…大変な事になっていたんですね」
リボーンさんの話を聞き終えた後、静まり返った室内に私の声が響く。
「……名前…」
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