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52.ア ジ ト **


確かに彼の言う通り、此処はまだ完成していないらしい。目的の階に着いてエレベーターが開いた瞬間、それを納得する。



「今んトコ、6割方出来てるってトコだな」

「スゲー!ボンゴレってこんなの作れちゃうの」

「ハハ。良い事教えてやろうか…。お前が作らせたんだぜ――ツナ」

「ええー!オレが!!!」

「嗚呼。もう少しデカくなった…お前がな」



自分が作らせたと言う事に驚きを隠せない沢田さん…。キョロキョロと辺りを見回す姿は、何だか微笑ましかった。

そのまま奥へ進んでいくと、入り口の前に、何やら怪しげな装置が設置されているのに気付く。



「山本さん、あれは?」

「ん?嗚呼。メカニックのジャンニーニが作った、何とかって物質を遮るバリアだそうだ」



そう言うと、山本さんは一人で装置の中を通り抜ける。そして、訝しげな顔をして装置を見つめる私達を振り返った。



「大丈夫だって」



来いよと、差し出される右手。戸惑いながらもその手を取り、装置の中へと足を踏み入れてみる。


「…何ともない」

「そう言っただろ♪ほらツナ達も来いよ」

「う、うん…」



それから沢田さん、獄寺さん、ラル・ミルチさんの順番に次々と装置の中を通り抜ける。



「――うっ、」



けれど、ラルさんが通り抜けた瞬間、彼女は苦しそうに呻き声を上げ、バタリと崩れるようにその場に倒れてしまった。



「おい、どうした!」

「ラルさん!!」

「しまった!」



直ぐに山本さんが駆け寄り、ラル・ミルチさんを抱き上げる。



「すまない、気付かなくて…」

「どうなってんの!?どうしてこの人だけっ」

「取り敢えず心配ない。環境の急激な変化に身体がショックを起こしただけだ。――大丈夫。少しすりゃー、目を覚ます」



山本さんは「大丈夫だ」と仰るけれど、やはり心配なモノは心配だ。

倒れたラルさんを気にしながら長い廊下を歩いていくと、ある部屋の前で山本さんが足を止める。



「さあ、着いたぜ」



扉を開け、私達に入るように促す山本さん。
沢田さん、獄寺さん、私の順に中に入ると――、





「おせーぞ」





聞こえて来たのは小さな子供独特の高い声。


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