確かに彼の言う通り、此処はまだ完成していないらしい。目的の階に着いてエレベーターが開いた瞬間、それを納得する。
「今んトコ、6割方出来てるってトコだな」
「スゲー!ボンゴレってこんなの作れちゃうの」
「ハハ。良い事教えてやろうか…。お前が作らせたんだぜ――ツナ」
「ええー!オレが!!!」
「嗚呼。もう少しデカくなった…お前がな」
自分が作らせたと言う事に驚きを隠せない沢田さん…。キョロキョロと辺りを見回す姿は、何だか微笑ましかった。
そのまま奥へ進んでいくと、入り口の前に、何やら怪しげな装置が設置されているのに気付く。
「山本さん、あれは?」
「ん?嗚呼。メカニックのジャンニーニが作った、何とかって物質を遮るバリアだそうだ」
そう言うと、山本さんは一人で装置の中を通り抜ける。そして、訝しげな顔をして装置を見つめる私達を振り返った。
「大丈夫だって」
来いよと、差し出される右手。戸惑いながらもその手を取り、装置の中へと足を踏み入れてみる。
「…何ともない」
「そう言っただろ♪ほらツナ達も来いよ」
「う、うん…」
それから沢田さん、獄寺さん、ラル・ミルチさんの順番に次々と装置の中を通り抜ける。
「――うっ、」
けれど、ラルさんが通り抜けた瞬間、彼女は苦しそうに呻き声を上げ、バタリと崩れるようにその場に倒れてしまった。
「おい、どうした!」
「ラルさん!!」
「しまった!」
直ぐに山本さんが駆け寄り、ラル・ミルチさんを抱き上げる。
「すまない、気付かなくて…」
「どうなってんの!?どうしてこの人だけっ」
「取り敢えず心配ない。環境の急激な変化に身体がショックを起こしただけだ。――大丈夫。少しすりゃー、目を覚ます」
山本さんは「大丈夫だ」と仰るけれど、やはり心配なモノは心配だ。
倒れたラルさんを気にしながら長い廊下を歩いていくと、ある部屋の前で山本さんが足を止める。
「さあ、着いたぜ」
扉を開け、私達に入るように促す山本さん。
沢田さん、獄寺さん、私の順に中に入ると――、
「おせーぞ」
聞こえて来たのは小さな子供独特の高い声。
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