オレは再び名前さんに視線を戻す。未来のオレも同じ事を感じた?やっぱり、オレ達は何処かで会っているのだろうか。……でも名字名前という名前に覚えはない。一体何処で会ったんだろう。
「やっぱ、ボスと歌姫は何かで繋がってるんだな。時を越えても巡り会う…そんな強い何かでさ」
不意に山本がポツリと何かを呟いた。
でも上手く聞き取れずに「何?」と聞き返せば、彼はフッと瞳を閉じて黙り込んでしまう。
「山本?」
「――いや…」
けれど、直ぐに何時も通りの笑顔を作って、オレの頭に腕を乗せた。
「だからって負けた訳じゃねーからな♪」
「は?」
「こんな状況にならねーと自分の気持ちに気付かないなんて情けねーけどさ。…でも気付いたからには手加減はしないぜ」
「え?なんの話??」
「獄寺、お前もだからな」
「ああん?何言ってやがんだ、てめー」
オレだけじゃなく、獄寺君にまで振られた意味不明な話…。
当の山本は「そっか、今のお前達に言っても意味がないんだったな」と可笑しそうに笑うだけ。
「「………?」」
顔見合わせ、首を傾げるオレと獄寺君…。
「山本さーん、沢田さーん、獄寺さーん。どうかされたんですか?」
「お前達早く歩け!!」
「おっといけね。名前を待たす訳にはいかねーし、ラル・ミルチを怒らせるとおっかねーからな♪――ほら。ツナ、獄寺、俺達も急ごうぜ」
「う、うん!!」
「命令すんじゃねー!」
この時、オレは山本の言った言葉の意味を少しも理解してなかったんだ。
“手加減はしないぜ”
この意味をオレが理解するのは、もう少し先。
オレが――『彼女』の事をどう思っているのか気付いてからの話…。
宣戦布告
(俺も……名前の事が好きみてーだからさ)
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