51.宣戦布告 **
「す、すみません。連絡も出来ない状態でしたし、それに――色々な事が一度に起過ぎて…」
「確かにな」
瞬間。山本と視線が合って、ギクリとする。
流石に(未来の)友人を見て苛々した……何て、気まずくて仕方ない。
「取り敢えず行こうぜ。…そこに突っ立ってるのは相手にするだけ損だ。――名前、立てるか?」
「はい。大丈夫です」
山本に身体を支えて貰いながら名前さんはゆっくりと立ち上がる。オレはチクリと痛む胸を気にしつつ、二人の後を追いかけた。まだ見ぬボンゴレアジトに向かう為に…。
◇ ◇ ◇
「ハハハ。そっか、10年前って言うとリング争奪戦が終わった頃か」
「う、うん」
「懐かしいな」
山本の隣に並んで会話を交わす。不思議だ。まるで何時もの山本と話してるよう。それにさっきまで感じていた妙な苛立ちがいつの間にか消えている。オレはラル・ミルチと一緒に前を歩く名前さんの後ろ姿を見つめた。
「名前の事が、そんなに気になるか?」
「えっ!?」
急に山本に確信を突かれて、心臓が跳ねた。
もしかしてオレ、そんなに彼女の事見てた!!??
「――気になるんだろ?アイツの事が…」
「あっ、え〜と///」
正直に言っていいものか、少し迷う。でもきっと山本には隠しきれない。そう感じた。だから、
「うん」
小さく頷く。
「何かさ、初めて会った気がしないんだ。ずっと前から知ってるような、懐かしい感じがして」
自分でも可笑しいと思う。会った覚えのない人を“懐かしい”と感じる何てさ。でも森の中で初めて彼女を見た時、確かにオレはそう感じたんだ。
突然こんな話を始めて、何言ってんだよ…と笑われると思った。だってそれが普通の反応だろ?でも山本は違ったんだ。
「やっぱツナだな」
まるでオレがそう言うだろうと分かっていたような反応を返して来た。
予想外な返事を返されて、逆にオレの方が驚く。
「そんなに驚く事ないぜ。――10年後のお前も、名前と初めて会った時、同じ事を言ってたんだ。『初めて会った気がしない・ずっと前から知ってる気がする』ってさ…」
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