≪綱吉side≫
敵に見つかり、絶対絶命の危機に立たされたオレ達…。そんなオレ達を救ってくれたのは――。
「ま、まさかお前…っ」
「や、山本!!??」
10年後の山本だった。
オレと獄寺君は慌てて山本の傍に駆け寄る。当然、山本も驚いていた。
「あれ?悪い冗談じゃ、ねー…よな?門外顧問トコの使者を迎えに来たら、お前らまでって――ん?でも縮んでねーか?……幻?…妖怪か??」
やっぱこの人、山本だ!……何て突っ込みを入れてる場合じゃなかった。
「あ!オレ達10年バズーカで過去から来て…」
て、山本に10年バズーカの話をしても分からないよな。じゃあ、どう説明すれば良いだろうか…と悩むオレだったけど、
「嗚呼そっか、昔の!」
山本はオレが説明するよりも前に理解したらしく、ハハハ…と困ったように笑みを浮かべる。
「焦ったぜ。どうりでな。…元気そうだなツナ」
へえー。この時代の山本は10年バズーカの事を知ってるんだ。
その事実にオレは驚く。
「名前!!」
その時だ。背後でラル・ミルチさんの叫び声が聞こえて咄嗟に後ろを振り返った。視線の先にはペタリと地面に座り込む名前さんの姿…。
「ど、どうしたの!?」
何かあったのだろうかと、慌てて駆け寄ろうとしたオレだったけど、
「名前!!!!」
それよりも早く山本が駆け出していた。
山本は瞬時に名前さんの元に走り寄ると、膝を着き、彼女と視線を合わせるように座り込む。
「どうした!怪我でもしたのか…っ」
「い、いえ。山本さんを見たら安心して…身体の力が抜けちゃいました」
「そ、そっか…」
安心した…と安堵の溜息を零す山本と、そんな山本に「ゴメンなさい」と申し訳なさげに眉根を寄せる名前さん。
二人の様子を無言で見つめていたオレは、さっき…10年後の獄寺君に感じた『不快な痛み』を、山本にまで感じている事に気付く。――何なんだろう、さっきから…。
妙に、苛々するんだ。
「今日の昼にはアジトに到着する予定だったのに、夕方過ぎても中々来ねーから…心配した」
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