「――僕は何時でも名前の傍に居ますからね」
彼の温もりが伝わって来るような気がしたの。
◇ ◇ ◇
「……ん…」
ふと目を覚ますと辺りは暗くなっていた。
「名前さん!!よ、良かった〜気が付いて…」
傍らには心配そうに私を見つめる沢田さんとラル・ミルチさんの姿…。
「…私、何時の間に…眠っていたんですか?」
「覚えていないのか?急に気を失って倒れたんだ。…恐らくこれまでの無理が祟ったのだろうな。もう暫く休んでいろ」
「いえ、もう平気です。ご迷惑をお掛けして、すみませんでした…」
ふらりと起き上がって周りを見る。どうやらまだ森の中らしい。今日は此処で野宿という事なのだろうな。中央では明々と焚き火が焚かれている。
「ほら。名前の分の晩飯だ。食べられそうならしっかり食べて、体力を戻しておけ…」
そう言ってラルさんが渡してくれたのは、焚き火で焼かれた焼き魚だった。私は「頂きます」と手を合わせて、はむと魚を口にする。美味しい。
「………」
そんな私を穏やかな表情で見つめた後、彼女は沢田さん達にこう告げる。
「……時間が出来た。名前が食事をしている間なら、少し知っている事を話してやる…」
「本当ですか!!」
身を乗り出す沢田さんに彼女は小さく頷いた。
「オレはボンゴレ門外顧問の組織に属している」
「門外顧問…て、父さんの事じゃあ――っ」
「お前、味方なのか!?」
「嗚呼。そういう事だ。――緊急事態が発生した為、現在の10代目ファミリーの状況を調べる指命を受けてやって来た」
「緊急事態?」
「そうだ――ボンゴレ本部が壊滅状態に陥った」
あの時の悪夢が一瞬で蘇る。同時に肩が震えた。
「騙されないで下さい、10代目!!こいつの言う事はデタラメですっ」
立ち上がる獄寺さん。
「あのボンゴレが壊滅する訳ねーっっ!!!」
「…10年前ならな。だが、この時代にはボンゴレを壊滅させる程の力を持つファミリーが居る。……ミルフィオーレファミリー。ボスの名を白蘭」
「びゃく、らん」
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