突然背後から身体を拘束された私。敵の出現に万事休すと思われたが、相手は何とアルコバレーノ(本人はなり損ないと言っている)の一人。ラル・ミルチさんだった!
「……初めまして。そして――さようなら…」
「敵っ!!!」
「名前さん!」
しかし彼女が見方だと知らない二人は捕まっている私を見て声を荒げる。
(どうしてラルさんがこんな事をっ!?)
口を塞がれて喋れない為、視線で訴えてみる。
するとそんな私の感情を読み取った彼女が、耳元で小さく囁いた。
『いいか?名前。オレ達が知り合いだとアイツらに悟られるな』
「???」
『安心しろ。殺しはしない。――ただ…』
カチャ。装着していた武器を彼らに向け、
「リングを使いこなせるか試させて貰うだけだ」
私を突き飛ばした。飛ばされた私の身体を沢田さんが支えてくれる。
「だ、大丈夫!!??」
「は、はい…」
「10代目、下がって下さい!!此処はオレがっ」
獄寺さんは私達の前に立ち塞がると、瞬時にダイナマイトを取り出し、
「果てろっっ」
ラルさんに投げつけた。彼女はスルリとそれを交わし木の上に飛び乗る。
「逃がすかよっっ」
再び獄寺さんのダイナマイトがラル・ミルチさんに向かって放たれた。
瞬間、彼女はリングに炎を灯し、その炎を装備していた武器に注ぎ込んだ。武器が藍色に光り、炎が放たれる。ダイナマイトは粉砕され、炎は一直線に獄寺さんの元へ。
ドォォォン。
「うわあっ!!!」
「きゃあっ!!」
反動で傍にいた沢田さんと私も吹き飛ばされる。
「獄寺君!!!」
直ぐに身体を起こして、獄寺さんの身を案じる沢田さんだったが、
「何だ!?…あちっっ」
獄寺さんは『霧の炎』で作られた檻の中に閉じこめられていた。
「……やはりリングを使いこなせないのか。宝の持ち腐れだな…」
「リングを使いこなす?」
「な、何言ってんだ!?」
困惑する二人。当然だ。彼らは10年前から来たばかりなのだからリングを使いこなせる訳がない。
(お二人はリングを使えません!!これで分かって頂けましたかっ!?)
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