残酷な事だった。まさか『10年前の彼』とは言え、沢田さん本人に、この事実を伝えなければいけない何て…。でも、
「でも、この未来を変える方法があります」
きっと、この二人が10年後の世界に飛ばされて来たのも、『運命』…。
「沢田さん、10年後の獄寺さんに渡された写真を……出して下さい」
「あっ、そっか!!」
沢田さんはポケットを探ると先程の写真を取り出し、落ち込む獄寺さんに手渡した。そして10年後の獄寺さんに言われた事を話して聞かせる。
「この写真の奴を…?――10年後のオレがそう言ったんスか??」
沢田さんと私は大きく頷く。それを見た獄寺さんはグッと拳を握り締めた。
「――ぃよしっ!5分経って過去に戻ったら、直ぐにその写真の奴を葬りましょうっっ!!!」
「ちょ!!いやいや、それは拙いよ!5分して戻ったら先ず――あ、れ?」
急に言葉を詰まらせた沢田さん。私は不思議に思い、そっと声を掛ける。
「沢田さん、どうかされたんですか?」
「10代目??」
「……もう、とっくに此処に来て5分位経ってるんじゃないかな?」
言われてハタと気付いた。確かに彼の言う通り、二人が此処に来て既に5分以上が経過している。それなのに何故、元の世界に帰らないの!?
「考えられるのは10年バズーカの故障じゃあ…」
「そ、そんな!オレ達どうなっちゃうのっ!!」
「詳しくは分かりませんが、二度と過去に戻れないとか…」
「ええ!!そんなの困るよっ!どうしよう――」
グルル〜・・・。
深刻な話に似付かわしくない、気の抜けた音が耳に届く。音の原因は恐らく沢田さんのお腹の音。
「「………(///)」」
沢田さんは頬を赤く染め、獄寺さんはポカンと口を開ける。そんな二人を交互に見つめながら私はクスリと笑みを零した。
こんな時に不謹慎だと思う。でも一度笑い始めると中々止める事が出来なくて…。怒られる事を覚悟してクスクス笑い続けていた私だったけれど、
「「………」」
何故かそんな私を驚いたように見つめる二人。
それに気付いて顔を上げると、パッとあからさまに視線を逸らされた。
「どうかしましたか?」
「「べ、別にっ///」」
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