モクモク、と可愛らしい色の煙が晴れた瞬間、私の前に現れたのは――
「10代目!!――…と、誰だ、この女っっ!!!」
少年・獄寺隼人さんだった。突然の出来事に全く頭が付いていかない。
どうして?どうして沢田さんだけでなく、獄寺さんまで10年前の姿に?
「おい、女!!テメー、一体何者だぁあっっ」
「ご、獄寺君!落ち着いて…っ!!こ、この人は悪い人じゃないか――」
「さっさと言いやがれ!じゃねーと果たすぞっ」
「ご、獄寺君!!!!」
話を最後まで聞かず、今にも私に掴み掛かりそうな獄寺さんを、沢田さんが必死に止めに入る。
「だから違うんだって!この人…10年後の獄寺君と一緒に居た人何だ!!」
「・・・・・え?」
ピタリ。獄寺さんの動きが完全に止まる。
その事に安堵し、ホッと息を吐く沢田さん…。
「う、嘘じゃないよ!オレ一緒に居るトコ見たし、それに……獄寺君、自分の手を見て見てよ」
言われた通り視線を落とすと、そこには繋がれたままの私達の手が…。
「のあぁあああ///」
獄寺さんは咄嗟に手を離す。私は繋がれて居た方の手をぎゅっと握り締め、幼い二人に向かって深々と頭を下げた。
「…あの、私はボンゴレでお世話になって居る名字名前と言います。……お二人は10年前の沢田綱吉さんと獄寺隼人さんで宜しいのでしょうか」
「10年前の…って、やっぱ此処10年後なのか!何時もの10代目なので違うのかと思ってました」
「いや、10年後であってるよ獄寺君ιオレもさっき10年前から来たんだ」
「何だ、やっぱりそうっスか。リボーンさんの事で大人ランボを呼ぼうとして10代目ん家に行ったら――て、これ何スか?棺桶みたいっスけど」
獄寺さんの言葉に肩が揺れる。でも、さっきみたいに泣いてはいけない。
この二人は事情を知らないのだから、私がしっかりしないと――!!
「――み、みたい、じゃ、ない……です…」
身体と一緒に声も震える。泣いては駄目!泣いては駄目!!――私はぎゅっと拳を握り締め、必死に涙を堪えた。そして、はっきりと口にする。
「10年後の沢田さんは……亡くなりました」
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