「――誰だ…っ」
その時。女の人が現れた方角から、低い…男の人の声が聞こえた。
「あ、貴方は…っ」
瞳を見開き、オレを見て呆然と立ち尽くすスーツ姿の銀髪の人。…あれ?この顔、まさか――。
「獄寺さん!!!」
オレが相手の名前を呼ぶ前に、女の人がそう叫んだ。――って、ええ!!『獄寺君』っ!?
「10代目っっ」
瞬間、ガクッと膝を着き、オレの肩を掴む10年後の獄寺君…。すげーデカくなってる!!
「――スイマセン…っ、スイマセン…っ」
「イテテテテテッ」
「獄寺さん!!!」
何故か何度も頭を下げる獄寺君。その内、肩を掴む力がどんどん強くなって…。余りの痛さに悲鳴を上げると、それを見ていた女の人が獄寺君の腕を掴んで止めてくれた。
「っ!スイマセン10代目。名前も、わりー…」
この女の人『名前さん』って言うんだ。
それに今の獄寺君の表情、凄く優しそうだった。
「名前の叫び声が聞こえて来てみたら、10代目がいらっしゃる何て…」
二人分の視線が一斉にオレに集まる。何が何だか良く分からないけど、自分は10年前から来たって、ちゃんと伝えないと!
「し、信じられないかも知れないですけど…、ぼ、ボクは、間違ってランボの10年バズーカに…当たっちゃって…ι」
「……そうですね…。5分しかない」
神妙な面持ちの獄寺君の隣で『名前さん』が悲しげに顔を歪ませた。
まただ。また胸が痛い。
「良いですか10代目。過去へ戻ったら、今から俺の言う事を必ず実行して下さい。詳しく説明している時間はないんです」
そう言うと、獄寺君は一枚の写真を取り出した。
「過去へ戻ったら、まずこの男を消して下さい」
その写真に写っていたのは、眼鏡を掛けた20代位の男の人…――って、
「はあ!!??」
「この時代の写真ですが、貴方は奴と中2の時に接触している筈何です」
「え?誰、これ?――って言うか消すって!?」
「躊躇(ちゅうちょ)する必要は…ありません」
いやいや!躊躇するに決まってるよ!!だって消すって、この人の『命』を…でしょう!!??
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