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42.10代目 歌姫 **


「言っただろ?歌姫を守るのが“ボスと守護者”の使命だ。――そして、それはオレ達アルコバレーノの使命でもある」



その表情は、まるでバルコニーで見た、あの微笑みと同じようだ…。



「だから名前はオレ達に守られてろ…。それがお前の役割だぞコラ」



私はキョトンと瞳を丸くする。それからクスリと笑みを零した。突然笑い始めた私を皆が不思議そうに見つめて来る。



「何だ?突然??」

「ご、ごめんなさい。ただ同じ台詞を獄寺さんにも言われたなと思って」

「獄寺に??」



全員の視線が獄寺さんに一点集中。次の瞬間、彼は真っ赤に頬を染めた。



「んなっ!!デタラメな事言ってんじゃねー///」

「ううん…。確かに嵐の人、そう言ってた…」

「クロームっっ///」

「そう言えば俺も聞いたな〜……(黒笑)」

「Σじゅ、10代目〜」



獄寺さんの悲鳴が部屋中に響き渡る。それを聞いた皆さんが可笑しそうに笑い声を上げた。



自分の中に存在する大きな力は怖い。でも、その力を守る事が歌姫として課せられた使命なら…私はそれを受け入れる。



(きっとそれがこの笑顔を守る事に繋がるから)



だからもう恐れない。みんなの笑顔を守る為に…。そして、歴代の歌姫が守り継いだ“大地の匣”を守る為に―…。

私は歌姫を受け継ぐ。




◇ ◇ ◇


(やっぱ心配する必要はなかったみてぇだな)



名前の強い思いを読み取ったリボーンは、ふっと口元を綻ばせた。

大地の匣の事を話して名前が歌姫を継ぐ事を拒んだらどうする――。ラル・ミルチ達はそれを懸念していたようだが、やはり話して正解だった。

それに詳しい事も話さず「ただ守られていろ」と言っても名前は首を縦に振らなかった筈だ。それはこの数ヶ月、彼女と共に過ごして分かった事。

自分の事より、他人の事を気遣う、清く・優しい心の持ち主。その清らかな心こそが歌姫の持つ“力”に繋がっているのだ。だからこそ彼女は10代目歌姫に選ばれた。



「“闇に生きる者を明るく照らす一筋の光”…どうやら我々は素晴らしい主を迎えたようですね」


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