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42.10代目 歌姫


風さんから聞かされた話は驚きの連続だった。

歌姫の存在理由や、代々続いて来たボンゴレファミリーとの関係。その全てが、歌姫(私)の中に封印された“大地の匣”を守る為だった何て…。



「これで分かって頂けましたか?我々が命に代えても歌姫を守らなければならない理由が…」

「でも、大地の匣を開ける為には大地のリングが必要なんですよね?」



そう。匣を開匣する為に必要不可欠な同じ属性のリング。それがなければ匣は開けられない。しかも雲雀さんの話では、これまで7種以外の波動が発見された記録はないと言う。ならば例え封印が解けたとしても大地の匣を開匣する為のリングが存在しない限り、匣が開けられる事はない筈だ。

そんな私の問いに風さんはふるりと首を振った。



「名前、貴女は何故、禁忌の匣(はこ)が“大地の匣”と言われるようになったと思いますか?」



今度は私が首を振る。



「大地の匣はかなり特別な構造で出来ていて、純度の高い死ぬ気の炎なら全てのリングで開匣可能な事が分かったんです」

「ま、待てよ!属性を問わねぇって言うのか!?」



驚き瞳を見開く獄寺さんに、大きく頷いて見せる風さん。



「似ていると思いませんか?唯一属性を問わず、全ての匣を開ける事が出来る…大空の特性に」

「!…成る程な。だから大地か。大空とは対の存在。故に――大地の匣」

「そうだ。つまり封印が解ければ最後。炎を灯せるリング保持者なら、誰にでも匣を開ける事が出来ると言う訳だ。…そして大地の匣が悪しき者の手に渡ってしまえば、間違いなくこの世は地獄絵図と化す。何せ世界を滅亡させる力を、そいつは手に入れるのだからな」



“世界を滅亡させる力”。ラル・ミルチさんの言葉が私に重くのし掛かった。そんな恐ろしいモノが自分の身体(中)にある、それだけで恐怖する。



「私は…これからどうすれば良いのですか」



俯き、弱々しく訊ねる私の元に返って来たのは。



「何も」



その一言だけ…。答えたのはコロネロさんだった。私は顔を上げる。



「何も?」

「そうだぞコラ」



分からない。どうして?どうしてそれだけで良いの?そんな重要なモノを守っているのなら、もっとしなければならない事が有る筈なのに…。

焦る私の気持ちを読み取ったかのようにコロネロさんは優しく微笑む。


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あきゅろす。
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