「だから終わったも同然だと言ったんだ。彼女以外の歌姫何て僕は認めない。守る価値もないよ」
「俺も雲雀と同じ考えだ。歌姫は名前以外に考えられん!極限にな」
「オ、オレだって!」
「………私も…」
笹川さん、ランボ君、クロームさん。皆さんはおもむろに立ち上がると私の周りを取り囲んだ。
そんな三人の様子を見ながらリボーンさんの視線は一人掛けのソファーに座っている骸さんへと注がれる。それに気付いた骸さんも顔を上げた。
「お前はどうなんだ」
「クフフ。愚問ですね。例え新たな歌姫が現れようと、僕は名前以外の人間の前で膝を折る気などありませんよ。……そして君達が彼女を認めなかったように、僕もその人間を認めない。――ひょっとしたら…殺してしまうかも知れませんね」
「……成る程な…」
ボルサリーノを目深に被り、足を組み直したリボーンさん。そして、彼の視線は最後の人物へと移動する。リボーンさんの視線が向かった先。それは、――ボンゴレ10代目、沢田綱吉さんだ。
「残ったのはお前だけだぞ、ツナ。お前もアイツらと同様、名前を歌姫として認めるのか?――お前は“ボスとして”正しい答えを出せよ…」
室内にある全ての瞳が沢田さんへと集中する。
「10代目!!!」
「ツナ!」
「沢田!!」
「ボンゴレ!!」
「………ボス…」
「「………」」
それぞれが彼の名を呼び、答えを促す。沢田さんは閉じていた瞳をゆっくり開けて、私を見た。
「俺の答えなら、もう決まってる」
何時も通りの優しい笑顔…。彼の手が伸びて、そっと頬に触れる。
「リボーン達が何と言おうと、俺達が認めた歌姫は――名前だけだ…。他の誰かを新たな仲間として迎える気はないよ」
「…沢、田さ――」
「それに、思うように力が仕えなくて一番苦しんでいたのは名前自身だ」
「――っっ…」
「『偽物じゃないか』って散々陰口叩かれて、傷付いて、傷付いて……それでもお前は諦めずに頑張った。一人でも多くのファミリーに認めて貰おうと、必死にさ…。それを俺達はずっと見て来たんだ。そんな名前を俺は半人前だなんて思わない。勿論みんなだって…」
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