「それよりアルコバレーノが勢ぞろいで一体なんの用なんだ?」
沢田さんの質問に彼らの動きが止まった。同時に私へと視線が注がれる。
「…成る程。名前に関係ある話って事か」
「…ツナ。パーティーが終わったら守護者全員を集めろ。クロームもだ」
「分かってるよ。他に必要な事は?」
リボーンさんが首を横に振るのを確認してから沢田さんは座り込んだままの私を立ち上がらせた。
『歌姫』つまり私に関係のある事?それは一体どんな話なんだろう。
それに沢田さんの仰っていた『アルコバレーノ』と言う言葉。あれは確か、骸さんがリボーンさんを呼ぶ時に使っていた言葉だ。私はずっとあだ名だと思っていたのだけど、どうやら違うらしい。沢田さんはあの場に居た全員を『アルコバレーノ』と呼んでいたから…。
分からない事は他にもある。パーティー会場へ戻る途中、私はチラリと後ろを振り返った。
視線の先には、風に黒のおさげ髪を靡かせた風さんの姿…。彼はどうして誰も知る人のなかった『歌姫の能力』に付いて知っていたのだろうか?それも当然のように…。
「…?」
「!!」
その時、不意に風さんと目が合い、それに気付いた彼の唇が小さく動く。
『また後程…』
ニッコリと微笑む風さんに小さくお辞儀をしてから、私は再び会場へと足を踏み入れた。
「10代目!!」
「名前!」
会場に戻ると、突然居なくなった私達を心配して獄寺さんとクロームさんが駆け寄って来る。
お二人に「すみません」と謝りながらも、私の頭はまだ外に居るであろう彼らの事で一杯だった。
アルコバレーノ
(突如現れた『アルコバレーノ』と呼ばれる6人の人物。彼らは一体何者なの?そして『歌姫』の何を知っているの?)
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