突然、私達の前に現れた二人の人物…。
恐らく屋敷内でボンゴレの皆さんが血眼になって探して居るであろう不審者に間違いない。
この人達の目的は沢田さんか私のどちらかの可能性が高いとの事だった。だけど、私は聞き逃しませんでした。向かって左側の人が呟いた『見つけたぞ。ボンゴレ10代目』と言う言葉を―…。
この人達の目的は私じゃない。沢田さんだ。
「……沢田さん…」
「何?」
「この人達の目的は私じゃなくて沢田さんです」
「そうだな。……でもそれは左側の奴だけだ」
沢田さんの答えに私は「え?」と彼を見上げた。
左側の人だけ?沢田さんの言っている意味が分からない。だって、この二人は仲間同士の筈だ。それなら必然的に目的も同じになる筈。なのにどうして左側の人だけが?
そんな私の疑問に沢田さんは淡々と答える。
「理由は簡単だ。左側の奴からは身体に突き刺さる程の殺気を感じるのに、それが右側の奴からは一切感じられない。それにアイツ……ずっと名前の事を気にしてる」
沢田さんに言われて私も右側の人に目をやる。黒フード被っている所為で私には良く分からない。
「流石ブラッド・オブ・ボンゴレ(超直感)を持つボンゴレ10代目だな」
不意に左側の人が口を開いた。変声期で声を変えている所為か、男性にも女性の声にも聞こえる。
「別に褒められる事じゃないだろ。寧ろそんな事にも気付かないようじゃ、ボンゴレ10代目なんてやってられないからな」
「それもそうだな。…確かにお前の言う通り、オレはその女に一欠片の興味もない。オレが興味があるのはお前だけだ。………沢田綱吉」
「だったら両方が俺に興味を持ってくれれば良かったんだ。そしたら俺も本気で戦えるのに…。……悪いけど、そっちの奴が名前を狙っている限り、お前とは戦わない」
沢田さんの視線は一直線に右側の人に向けられる。その態度が気に食わなかったのだろう。左側の黒フードの人物がピクリと肩を揺らした。
「……自分を狙ってるオレよりも、他人を狙うコイツを気にするのか」
「当然だろ」
何の迷いもなく即答する沢田さんに、左側の人は「そうか」と呟き…。
「――だったら」
「!!!」
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