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36.狙われた 二人 **


「…獄寺さん…」



そうだよね。私は沢田さんと違って戦う事が出来ないから皆さんに頼るしかない。…でもそれは迷惑を掛ける事じゃなくて、一番迷惑を掛けない方法でもあるんだ。



「分かったら俺達の傍から離れんなよ」

「……はい…」



今度こそ私は獄寺さんの言葉に素直に頷いた。
そんな私を見て、彼はふっと口元を綻ばせる。



「…さてと。主役の名前も戻って来た事だし、俺達もパーティーを楽しもうか。挨拶周りも全部終わったしね」

「10代目!何か飲み物でも持って来ましょうか」

「いいよそれ位。自分で持って来るから」

「いえ!此処は10代目の右腕である俺がっっ」

「………獄寺君、飲み物を持って来るのに右腕とか関係ないから…」

「名前の飲み物は私が持って来る…」

「そ、そんないいですよ!皆さんはお疲れでしょう?飲み物なら私が持って来ますから…っ」



さっきまであんなに苦痛だったパーティーが今は素直に楽しいと思える。これも皆さんが傍に居てくれるから…なのかな。




◇ ◇ ◇


結局、飲み物は獄寺さんとクロームさんが取りに行く事になりました。
その間、残された沢田さんと私はといえば…?



「良いんですか?沢田さん。黙ってパーティー会場を抜け出して…」



獄寺さん達にも内緒でパーティー会場を抜け出し、二人で庭を歩いていた。



「良いんだよ。来客者への挨拶周りも全部済ませたし、それに…俺も外の風に当たりたい気分なんだ。名前と同じでさ」



そう言いながら沢田さんは両手を上げて、「ん〜…」と背伸びをする。



「風が気持ちいいな。これなら名前がサボリたくなる気持ちも分かるよ」

「もう〜沢田さん!」

「あはは。冗談だって」



夜なのに辺りが明るく感じるのは月の光のお陰だろう。ふと空を見上げると相変わらず大きな月が浮かんでいる。その月を見上げながら私はバルコニーで出会ったあの男性の事を思い出していた。



(あの後会場内を探してみたけど、結局あの人は見つけられなかった)



金髪で迷彩服を着た男性。あんなに目立ちそうなのにどうして見つけられなかったんだろう。



「名前?」


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あきゅろす。
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