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36.狙われた 二人


「名前!……よかった無事だったのか」



クロームさんと共にパーティー会場に戻ると、沢田さんが安堵の表情を浮かべて出迎えてくれた。



「すみません。一人で抜け出したりして…」

「仕方ないって。慣れないパーティーで名前も疲れたんだろ?それにまだ不審者が目撃される前だったし。……でも、今からはダメだ。お前を絶対に一人にさせない」



沢田さんの言葉に、私の隣に居たクロームさんも大きく頷く。

事情は此処に来る途中でクロームさんから聞きました。屋敷内で不審者が目撃されたとの事だ。

さっき山本さん達の様子が可笑しかったのも、今考えるとこの事だったんだなと納得出来る。



「で…でも、まだ私が狙われると決まった訳じゃないんですよね?」



クロームさんの話では、沢田さんか私のどちらかが目的の可能性がある、との事だった。それなら私の心配ではなく、沢田さんはご自身の心配をされた方がいい。そう言おうとしたのに彼は私の気持ちを察してか、穏やかな微笑みを浮かべると。



「俺の事なら心配しなくて良い。……俺は名前と違って、強いから…」



優しく頬を撫でてくれた。沢田さんは何時も私の事を優先してくれる。
それは凄く嬉しい。嬉しいけれど……逆に不安にもなる。だって私の事を優先するばかりに、沢田さんが怪我をされるような事があったら…。



「10代目の事は、お前が気にする事じゃねー」



不意に背後から聞こえて来た声に私は後ろを振り返る。そこには獄寺さんの姿があって…。
彼は私の横を通り過ぎると、沢田さんに向かって頭を下げた。



「お傍を離れて申し訳ありません、10代目」

「気にしなくて良いよ。皆の様子を見て来て欲しいって頼んだのは俺なんだし…。それで、何か分かった事はあるの?」

「…いえ。まだ何も。…ったく、どいつもこいつも役立たずばかりだぜ。……10代目。相手の正体がはっきりするまでは貴方も成る可く一人での行動は避けて下さい」



獄寺さんは沢田さんにそう告げた後、今度は私を振り返ってこう言った。



「お前は絶対だ。絶対一人になるな。俺達に迷惑掛けるとか余計な事考えんじゃねーぞ。……お前は――名前は黙って俺達に守られてろ」


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あきゅろす。
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