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33.幸せの天気予報 ***


ここ数日間の彼の多忙さは傍で見て居た私が一番よく知っている。だから獄寺さんが「肩を貸して欲しい」と言うのなら私はそれに従うしかない。少し恥ずかしいけど…。

ドキドキしながら、ちらりと視線だけを横に向けた。10代目の右腕という立場の所為か、普段、余り気を抜いた姿を見せない獄寺さん。そんな彼が、こうして目を閉じている姿は凄く珍しい。それだけ気を許してくれて居る…という事だろうか。



(そうだと嬉しいな)



私は小さく微笑みを浮かべた。

開けた窓から入って来る心地良い風や、日の光。肩から伝わる獄寺さんの体温…。さっきまであんなにドキドキして居たのに、彼の傍に居る事が自然と安心感に変わる。



「――獄寺さん。ずっと傍に居てくれて、ありがとうございました…」



次第に重くなる瞼。私は獄寺さんに寄り掛かりながら静かに瞳を閉じた。










≪獄寺side≫


「――ったく…何でお前が寝てんだよ」



自分の肩で幸せそうに眠る名前の姿に、獄寺は小さく苦笑を浮かべる。



「傍に居てくれて有難う、か。……バーカ。それはこっちの台詞だ」



今回の一件で、自分が名前の事をどう想っているのか良く分かった。

ずっと不思議だったんだ。彼女が他の男と話す度に、どうしてあんなに苛ついたのか…。彼女が涙を零す度に、どうしてあんなに苦しかったのか…。彼女が笑顔を見せる度に、どうしてあんなに……嬉しかったのか。



『名前の事を、どう想っているの?』




あの時は直ぐに答えられなかった。けれど彼女が一人で街に出掛けたと聞いた時。そして無事、この屋敷に戻って来てくれた時…確信したんだ。



(姉貴、今ならはっきり言えるぜ…俺は――)



獄寺は名前の髪に指を絡めて、そっと顔を寄せる。――そして、





「こいつが好きだ」





こめかみに触れるだけの口づけを送った。自分からやって置いて何だが、



(こっ恥ずかしい///)



獄寺は頬を染める。

でも何時か、彼女にこの想いをちゃんと伝えたい。そして、きっとその想いを伝える頃には…、



(もっとお前が大事な女になってんだろうな)





(隼人、義妹はまだ出来ないのかしら?)

(気が早ーんだよ///)



【第2部 / END】


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あきゅろす。
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