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31.晴れ 時々 晴れ ***


ただでさえ声が出なくてショックを受けてるというのに、雲雀の件で更に彼女は傷付いた筈だ。自分の事より、他人の事を心配する。そんな彼女だから――尚更…。

ガサリッ…書類を持つ手に自然と力が籠もった。名前の為にも、早く何とかしなければ――っ



「ねえ隼人。…今、誰の事を考えてるの?」



ビアンキの声でハッと顔を上げる。すると傍らに居た筈の彼女が、いつの間にか正面に回って、獄寺の事を慈愛に満ちた瞳で見つめていたのだ。



「隼人がそこまで必死になるのは…誰の為?」

「……何言ってんだよ。訳分かんねぇ…」



気付かれていないと本気で思ってるのだろうか?これでも20年以上、彼の姉をして来たのだ。分からない筈がない。



「じゃあ単刀直入に聞くわ。隼人はその人を――どう想っているの?」

「……っ…」



気付かない訳がない。でも、その答えをビアンキは獄寺の口から直接聞きたかったのだ。

彼女が表れてから獄寺の世界は大きく色を変えた。綱吉や仲間(ファミリー)以外、何も無かった彼の世界に新たな色を加えてくれたのだ。

名前には感謝しても仕切れない。何故なら、彼女の存在が、これからの獄寺隼人をもっともっと強くするから…。


――だって愛は人を強くするでしょ。リボーンと出会えた私のように…。



「素直になったら?もう気付いてるんでしょ」

「――俺、は…」



獄寺が口を開き掛けた時だ。――突然、部屋に備え付けられた電話が大きく鳴り響いた。そのタイミングの悪さにビアンキは小さく溜息を零す。



「…話は終わりだ…」



獄寺は気持ちを切り替え、電話に出ようとして、手が止まる。番号を見ると、それは山本達の眠る『医務室』からだった。

まさか彼らの身に何か合ったのでは…!獄寺は慌てて電話に出る。



「どうした!!名前!山本達に何か…っっ」



てっきり電話の相手は名前だと思っていたのに、



『獄寺氏っ』



相手は想定外の人物で、瞬時に冷静さを取り戻す獄寺。話せない名前が電話を掛ける筈がないか。


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