リボーンさんからの報告を聞いた後、私は獄寺さんと別れてまだ目を覚まさない山本さんと笹川さんの病室を訪れて居た。
普段は花瓶のお水を変えたり、お二人の傍で今日あった出来事を振り返ったりするのだけど――今日ばかりは何もする気にはなれなかった。
(………)
正直……今でも信じられない。今回の騒動が全てベスティオーラファミリーのボス、ファルファッラさんが仕組んだ事だった何て…。それも――雲雀恭弥さんを自分のモノにしたいが為に…。
(…それだけ好きだった…って事ですよね)
ううん。だからと言ってこんな事を許して良い筈がない。雲雀さんの記憶、何としても取り戻さないと!――でも、どうやって戻せば良いんだろう。会う方法だって、分からないのに…。
(それなら方法がありますよ…)
(――え?)
不意に頭の中で誰かの声が響いた。…この声…、もしかして――、
(…骸……さん?)
(ええ…、久し振りですね……名前)
驚いた。勿論、急に骸さんの声が聞こえたからと言うのもあるけれど、それ以上に驚いたのは――私…普通に話せてる。心の中で、だけど…。
(クフフ。当然ですよ。君は声を失っただけで、言葉自体を忘れた訳ではないのですから。君の心に入り込める僕となら、こうして心の中で会話だって出来る――)
骸さんの声を聞きながら、私は胸の上に手を当てた。――こうして誰かと話をするのは久し振りだな。凄く懐かしい。ふっと瞳を伏せ、感傷に浸って居た私だったけれど、骸さんの言葉を思い出して、ハッと目を開ける。
(それより骸さん『方法がある』って、どういう事なんですかっっ)
(言葉通りです。君が望むなら…雲雀恭弥に会わせて差し上げますよ)
(ほ、本当ですか!)
(ええ。しかし…君にその覚悟がありますか?)
(――かく…ご?)
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