ハ ヤ ク ッ
マ ニ ア ワ ナ ク
……ナ ル ! !
はっきりとその言葉が頭に浮かんだ瞬間、獄寺に向かって叫んでいた。
「屋敷に…っボンゴレのお屋敷に急いで下さいっっ、早くっっっ!!」
◇ ◇ ◇
ボンゴレの屋敷に着いたと同時に、空から大粒の雨が降り始めた。名前は濡れる事も気にせず、車を飛び出す。
「名前!!!待てっっ」
獄寺の呼び止める声。けれど彼の静止も聞かずに名前は走り続けた。
玄関まで一直線に、早く、早くと…。扉まで後3メートル・2メートル・1メートル―…。
バンッ!!
名前は勢いよく扉を開けた。そして彼女の目に飛び込んで来たのは床に広がる一面の“赤”…。
名前は咄嗟に口元を押さえる。屋敷中に充満する鉄の臭い。倒れている同胞達。そしてその中には、守護者の姿までも…。
「山本さんっ!笹川さんっ!ランボ君っ!」
名前は三人の元へ走り寄った。ぐったりと倒れ込んだままピクリとも動かない、山本、了平、ランボ。出血が酷い。
「山本さぁぁんっっ、笹川さぁぁんっっ、ランボくぅぅんっっ!!」
必死の呼び掛けにも何の反応も示さない。名前は涙を溢れさせながら三人の名前を呼び続けた。何度も、何度も、何度も…。
「…名前…さ、ん」
「っ、ランボ君!」
そんな彼女の想いが通じたのか微かにランボが反応を示した。彼は、はぁ…はぁ…と苦しそうに肩で息をしながら必死に何かを伝えようとする。
「…に、げて…下さ、ぃ……名前……さん」
「喋っちゃ駄目!直ぐにお医者さまを―…っ」
呼んでくるから…。そう続く筈の言葉を彼女は途中で飲み込んだ。背後に殺気を感じたのだ。それも全身に纏り付くような凄まじい殺気を…。
恐らく彼らをこんな目に遭わせた人物。名前はランボを庇うように抱き締め、後ろを振り返った。
怒りと恐怖の入り交じった瞳で…。
「……ふーん…」
けれど、彼女の後ろに立って居たのは、余りに意外な人物で―……。
「っっ、」
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