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26.雨が降る ***


獄寺も名前を見つめ返す。彼女を不安にさせたくない。その想いで名前には黙っていのに…。それが逆に彼女を不安にさせていたのだ。

獄寺は前を見据えた。信号が青に変わる。



「……10代目が、」



車が動き出すと同時に、獄寺は小さな声で話し始めた。苦しそうに眉根に皺を寄せて…。



「10代目が会談に向かったのはミルフィオーレファミリー。ボスの名を白蘭。以前から…10代目が密かに警戒してたファミリーだ。………その白蘭って野郎が何考えてるのか分かんねぇ奴で、ボンゴレと同盟を組みたいのか、敵対したいのか…、その真意を掴めないでいたんだ。………だが…、最近そいつが同盟を組みたいと言って来やがった。お前の、“歌姫”の出現と同時にな…」

「私、の?」

「奴らの狙いはお前だと10代目は踏んだ。でも確証がねぇ。そこで話し合いの場を設ける事にしたんだ。奴らの真意を確かめる為に…。なのに奴らが会いたいと指名して来たのはお前じゃなく」

「雲雀さん、だった」



獄寺は小さく頷く。奴らの狙いは名前ではなかった。否、まだ断言は出来ない。だが少なくとも綱吉達の失踪にミルフィオーレが絡んでいる事は確か。奴らの目的は一体何なのだろうか。名前でもないとすれば一体…。





――ハ ヤ ク





その時だ。名前の中で“何か”がそう叫んだ。

この感覚。前にも覚えがある。確か綱吉と初めて会った時と同じ…。





――ハ ヤ ク!!





「…くぅっ」



けれど、あの時とは比べものにならない程胸が騒ぐ。胸が、苦しい。



「どうしたんだ!お前、顔真っ青だぞっっ」



名前の異変に獄寺も直ぐに気付いた。カタカタと身体を震わせ、苦しそうに呻き声を上げる名前。尋常ではない彼女の様子に車を止めようとした獄寺だったが、



「だ…めっ。止め……ないで、下さ…いっ」



それを阻止したのも名前本人…。



「な…っ!!お前、何言ってやがる!そんな苦しそうな面して…っ」

「大、丈夫です…から」


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