綱吉と雲雀が交渉に出掛けてから三日が過ぎた。その間、彼らからの連絡は……一度もない。
「何で10代目と連絡が取れねーんだよっっ」
「落ち着けって獄寺っ」
共に出掛けた数名の部下からも何の連絡も無く、苛立ちは増すばかりだ。獄寺は己の拳を壁に叩きつける。咄嗟に止めに入る山本だったが、その態度が気に入らないと獄寺は山本に掴み掛かった。
「山本っ、てめーは心配じゃねぇのかっっ」
「っ…、誰もそんな事言ってねぇだろっっ」
「やめろお前達!」
険悪なムードが漂う中、凛とした声で二人を制したのは…以外にも一番冷静な了平だった。
「山本。獄寺に突っかかるなどお前らしくないではないか…」
「……っ…」
「そして獄寺。沢田達の事が心配なのは自分だけだと思うな。気持ちは皆、同じなのだからな」
「……くそっ…」
「………」
けれど、獄寺達が取り乱す気持ちも分かる。偉そうな事を口にしたが了平自身、内心は動揺が隠せないのだ。なにせ、相手はボンゴレ・ボスと守護者最強の雲雀恭弥…。
その二人が何の連絡も寄越さないと言う事は彼らの身に“何か”が起こったと考えるのが自然。
ただその“何か”が分からない以上、自分達は手を出す事も出来ない。
「…兎に角、今は情報収集に出た小僧と骸からの連絡を待つのだ」
今はそれしかない。それしか…。了平はぐっと拳を握り締めた。
◇ ◇ ◇
その頃、名前はヴァリアーの屋敷に居た。
二日前、幹部全員が任務で留守にするからスクアーロの所に行くようリボーンに言われたのだ。
屋敷の中の妙な違和感には気付いていた。でも気付かない振りをした。出掛け間際『お泊まりみたいで楽しみです』と無理矢理笑顔を作って…。
「…雨が降りそう」
名前は部屋の窓から空を眺める。三日前、綱吉達を見送った日からずっとこんな天気が続いていた。雲が空を覆って、暗く暗く…。まるで今の自分の心のようだ。
コンコン。
どの位の時間が経っただろうか。ノック音に気付いて名前は視線を部屋の中に戻す。小さく返事を返すとルッスーリアが顔を覗かせた。
「名前ちゃん、お迎えが来たわよぉー」
「…ぇ…」
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