中学時代、綱吉が想いを寄せていた少女の顔が、ふと頭に浮かんだ。
ボンゴレ晴の守護者、笹川了平の妹、笹川京子。
「アイツが本気になるのは京子以来じゃねーか」
もっとも、綱吉に言わせれば「彼女への想いは恋愛じゃなくて、憧れだったんだ」との事だが…。
それなら、早くいい相手を見つけて身を固めてくれればと考えていたリボーン…。やっと訪れた綱吉の春を、本来ならば応援してやる所だが、まさかそれが『名前』だとは…。相手が悪過ぎる。
(分かってんのか。名前にはもう…『一緒になる奴』が決まってんだぞ)
それを承知の上で『歴史を変える』と言うのなら、見届けてやろうじゃないか。どうやって“奴ら”から歌姫を奪い取るか。どうやって初代ボンゴレですら冒さなかった禁忌を我らがドン・ボンゴレが成し遂げるかのか。
「その行く末をな…」
リボーンはこれから起こるであろう出来事を想像しながら、一人静かに微笑むのだった。
はじまりの 空
(俺は本気だよ。だから変えるしかないんだ。代々受け継がれて来た“守護者と歌姫が婚姻を結ぶ”何て掟は――…さ)
【第1部 / END】