長きに渡り止まったままの七つの時計が、
チクタク、チクタク。
一人の女性“歌姫”の覚醒と共に――
チクタク、チクタク。
今、動き始める。
song for xxx
- 虹 色 編 -
扉を隔てた向こう側から楽しそうな笑い声が聞こえて来る。80…否、100人はいるだろうか。
私は今にも飛び出してきそうな心臓を押さえて、小さく溜息を零した。
「緊張してるの?」
「…はい、とても」
そんな私を横から覗き込んで来たのはクローム髑髏さん。本日はインディゴのドレスを身に纏(まと)い、まるで何処かの国のお姫様のようだ。
かくゆう私も白いドレスに袖を通しているのですが…失敗だったと反省中。クロームさんと並ぶとポッチャリ体型が余計に際立って見えるからだ。
「そんなに緊張しなくても大丈夫…。きっとボスがフォローしてくれるから…。勿論、私も…」
「ありがとうございます、クロームさん」
何故、こんなにも着飾っているのか。それは…?
『では、ご本人に登場して頂きましょう!』
部屋の中から聞こえて来た声に私はピンと背筋を伸ばす。それから、ふぅーと大きく深呼吸。
「…準備はいい?」
「はい!」
『我らボンゴレの歌姫・名字名前さんです!』
今日が私の歌姫としての初仕事だからです。
◇ ◇ ◇
『信頼できる同盟ファミリーには、お前をちゃんと紹介したいんだ』
そんな沢田さんの一言から開かれる事になった今回のパーティー。主役は歌姫。つまり私です。
この世に生を受けて二十数年。主役とは無縁の世界で生きて来た私にとっては未知の経験だ。
もう疲れるの何のって…。自分には裏方の方が似合っていると改めて実感する日になりました。
「おや?我らの姫君は随分お疲れのようですね」
「ハハ、もうバテたのか?ウタヒメサマ♪」
そんな私の元を訪れたのは骸さんと山本さんだ。二人共、絶対私の様子を見て楽しんでますね!
「もう。お二人共、からかう何て酷いです」
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