ショートストーリー
つなぐ手の永遠[ミロカミュ]
幼い頃たやすくつないでいた手は、いつの間に遠くなったのか。
仲間の輪に入らないで一人でいいと強がっていた時も
かわいかった小鳥のひなが巣から落ちて死んでしまった時も
新しい隠れ家をみつけたけどみんなに内緒だぞと二人秘密を共有した時も
サガがクッキーを焼いてくれたいい匂いのする優しい午後も
鍛練で油断して負けた悔し泣きの涙の時も
「行こう、カミュ」
わたしの手を取りいつでも隣にあった澄んだ青い瞳。くるくると泣いたり笑ったり怒ったり同じ瞬間など一時もない。
ミロがわたしを励まし、わたしがミロを支えた。
少しづつ大人になっていったわたしたちだけど、向けられるその笑顔はずっと変わることがなくて。
永遠などというものは本当にあるのかわからないが、誰が確かめることが出来る?
人の想いは刹那であり、消えることのない永遠なのでないのか。
死して途切れたかに思えた想いすら、肉体の消失はささいなことに過ぎないと気付かせるすべであった。
つないだ手のぬくもりは心に消えることはなく、わたしを魅せる永遠の灯火。
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