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ショートストーリー
バラジャム2[デスアフロ]
「今度のは完成したんだろうな・・?」

デスマスクは疑い深い目でアフロディーテの手の中の瓶を見ている。

「だから持ってきたのだ!前回と見た目が違うだろう?」

そう前回は・・・・・・レシピなしで作ってみたバラジャムで、香りを残すことは成功して出来上がったが、どうにも色が冴えない薄茶色、という代物でデスマスクは味見しなかったのである。せっかく作ったのだからと、ミロに食べさせたところ意外にもリアクションがよかったのだが。
なるほど今度のは赤味がきれいに残っていてうまく出来たようだ。

押しかけアフタヌーンティにも関わらずデスマスクはもうスコーンを焼く準備に取り掛かっている。バゲットにつけて味見してもらうのでもいいかなと思っていたアフロディーテだが、彼に任せることにした。

「オメー、ぼーっとしてんならサンドイッチくらい作れ」

「は、は〜〜い」
魚座はびくりと背筋を直してキッチンに立った。いつ来ても野菜や果物がそれなりに買ってあって使いよさそうなキッチンである。
きちんと整理されたキッチンに立つと普段料理などしないが、料理してもいいなと思えるから不思議だ。まぁ挟むくらいならわたしにも出来るだろう。

「バター塗ってから野菜挟めよ?あとそっちの棚にピクルスもあるからな」

デスは後ろにも目がついているのではないか・・・・・。
などとくだらないことを考えつつ、デスのナイスアシストでサンドイッチが完成した。
紅茶はアフロディーテの担当なのでテーブルで用意する。


この蟹座のイタリア人は乱暴そうに振舞ってはいても、案外きちんきちんとするタイプで、懐に入ってしまえば面倒見もよい。食材をいつも多めに買ってあるのもわたしやシュラの分なのだ。(とわたしは思っている。思い上がりか?)最近ではわたしがリクエストしたパンナコッタ用のアマレットまで常備してあるくらいだ。

出来立ての温かいスコーンにジャムをつけ、チラリとこっちを見たデスをちょっとドキドキしながら見守った。
「お前も早く食べろよ」
自信があったのに急にデスの感想がコワくなってきた。


「まぁまぁ美味い」

「・・・っまぁまぁとは何だ!失礼な」


うん、やっぱりうまく出来ていたのだ。褒められて自信がでてきた。

「食い物からも、お前のにおいがするのな」

「・・え」

例えそこに姿はなかったとしても、バラの香気は彼の人を思い出させるのに。
ましてや今は向かい合って飲食を共にしているのだから、その姿で仕草でそして香りで魅了し続ける。
食事の時間くらいオレに目立たせてくれよ。と心の中でつぶやきつつ、赤くなったアフロディーテを見てにやりと笑った。



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