ショートストーリー
言葉[ミロカミュ]
すぐ隣にある温かい体温を感じながらカミュは考えていた。
いとも簡単に口にする言葉の意味を。
熱にうかされたように、情熱の赴くまま言っているようなミロの言葉。
・・・もちろんそこにも真実はあるけれど。
あまり走りすぎるなと心のどこかがブレーキをかける。多分傷つくのを恐れて。
ミロはもう眠ってしまったのかもしれない。サイドの灯りを消すために覆い被さる形になり、閉じられたまぶたとくっきりしたまつ毛の影を見ていた。
きっと眠っているという安心感か、つい口に出してしまった。
「もう一度聞かせてくれないか・・・・・?」
「何を?」
ゆっくりと青い瞳があらわれ視線が交差する。
「何の、話し?」
「起きていたのか。何でもない」
本人に言うつもりはなかったのでごまかすが、わたしが答えるのをじっと待ってる。というかもうわかっていて焦らしているような瞳にさえ見えてきた。
「カミュ。オレもたまには聞きたいなぁって思ってるんだよ。全然ムリ強いする気はないけど」
「!?」
いつもさらりと先に言われてしまい、「わたしも」と、言葉にする機会を逃してきたけれど。もはや背後は崖の気分。今を逃したらまた言えなくなってしまうのだろうか。
「・・・・・・・・・・・ぁぃしている」
カミュはなんだかはずかしくなってきてベッドにもぐりこんだ。
口に出さないからといって気持ちが見えなかったわけではない。表情でも声でもその温度は伝わっていたけれど。
普段言わない人が言ってくれたのが嬉しくてたまらなく、しあわせすぎて眠れそうもない。
「カミュ、愛してる」
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