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ショートストーリー
カミュの薬指
カチャン!

寝室から何かの割れた音と、続いて「あ〜・・」とため息が聞こえた。それほど大きな音ではなかったけれど覗いてみると、ミロがかがんで破片を拾っているところだった。

「ごめん、カミュ。落として割ってしまった」

サイドボードに立ててあった写真立てのガラスが割れただけだったのだが、ミロに片づけを任せると指でも切りそうだったので
「わたしが片付けるからいいよ、、、」

「い、ててて。血、でた」

「ああ(やっぱり・・・)」
子どもにやるようにその手をとって血を吸った。
カミュが指先でも切ったなら、ミロは本当の心配半分・いちゃいちゃ半分でカミュの指をなめるだろう。が、器用なカミュはそんなヘマはしないのでこれまでそういうこともなく・・・カミュの意外な行動にとにかく驚いた。

そしてうわめ遣いでミロを見上げるカミュに再びドッキリしていると

「子どもの頃ケガをした時、ミロがこうしてくれたな」

「え、そうだっけ??」

「忘れてしまったのか」

少し残念なように言うカミュを前に必死に記憶をたぐるけれどいつのことだろう?
オレは思ったまますぐ行動して失敗したり、アイオリアと小さなケンカをして転がったり、ケガが絶えない子どもだったけど。カミュはいつも慎重に考えてから行動するからケガすることは少なかったと思う。

「丘の上の樹に鳥が巣を作っていて」

「・・・雛が見たくて上ったことがあったな!枝にひっかけた手がすごく痛そうに見えたんだった」

めずらしく小さなケガをしてしまったカミュが不安そうに見えたミロは、自分がいつもしてもらっていたように、「このくらいなめときゃ治る」とその手をとってペロっとなめたのだった。

『左手の薬指は一番ハートに近い場所』だと知っていたカミュは、そのことを教えようかどうしようか迷って結局言う機会を逃してしまった。

けれど、左の薬指がハートに響くのは本当なのかもしれない。。。。

などどメルヘンな気分になったカミュでした。



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