お留守番
行ってしまった…
しかし、いつの間に測った?
あ!あの時か。
俺が風呂に入っていた時かな。
気配なんて直ぐに分かった。だって、隠そうともせずただ入ってきたぐらいだからな。
気配なんて練習なんかしない限り、安藤には到底無理な話だが。
そんな事を考えながら、居間へと向かう。
“ 未来 ”とやらは兎に角便利なものだらけで、(ここでは俺の生きた時代は“ 過去 ”と言うらしい)過去を生きている俺からすれば一日では見きれない物ばかりだ。興味をそそる物ばかりだが、何せ突然昨日来たばかりの奴が勝手な行動なんて出来ない。
あ…
もし三郎だったなら、絶対触るなあ。特に、俺の目の前にある黒い箱なんてさ。
あーあ…
暇じゃないけど、暇だよな。
だって今、巳の刻。(約9時ぐらいを指しています)
今頃は、土井先生の火薬の授業だな。土井先生の授業は、かなり分かり易い。なんせ、一年は組の担任教師だからな。多分、知らない内にこうなったんだろう。俺としては、助かるのだが。
ぼーっと、窓を見つめる。
外には、ちゃんと手が行き届いているみたいで綺麗な庭がある。太陽の光が注がれて、緑が綺麗に見える。だが、一歩外へ出れば夏の太陽の餌食になるのは目に見えている。
「……ぁ。」
猫が、来た。三毛だ。
その三毛が、俺を見た。窓越しだから、泣き声が聞こえない。
俺は生物委員をやっているぐらいだから、動物が大好き。もちろん、生き物という生き物たちも好きだ。そのぐらいじゃないと、生物委員なんてやっていけないと我ながら思う。
安藤には悪いけど、この三毛と遊ばせてもらうことにした。
―――ガチャッ
ガラガラ…
「みやぁー。」
「んー?お前何してんだーぁ。…よっと。」
三毛はわりと大人しく抱っこされた。
首の辺りを優しく撫でると、ごろごろと鳴く三毛はとても可愛いものだった。ついつい動物や虫を見てしまうと、身体がうずいてしまう。
「まいったなぁ。」
そんな自分に苦笑いしながらも、三毛を抱きながら夏の空を見た。
安藤が帰ってきたら、怒られるかな?
ちょっとここでのお留守番も悪くはないと思った。
無料HPエムペ!