出会いは突然に
ザー… ザーァー…
梅雨が明けて、夏がきたというのにこの雨は一体なんなのだろうか?
「あーぁ。」
窓から幾度となく降りしきる雨を眺めながら、ごろんとソファに寄り掛かった。
遠くの方で、雷がゴロゴロと鳴っている。
今日は、友達と遊びに行く予定だったのだ。
雨が降っている時の雷は危険というのをテレビか何かで言っていたのを思い出し、それに雨じゃ何も出来ないという友達の鶴の一声で仕方なく中止にした。
雨はまだ止まない。
両親はなんだか旅行に行っちゃうし。私、一人っ子だし。この家に一人は寂しすぎる。
折角友達と遊ぶ約束し、今日は独りにならなくて済んだのに、この雨のせいで私の計画がおじゃんだ。
ましてや、中学三年生で受験イヤー。
私は、勉強なんてする気もなくまたうだうだしている。
すると、凄い音の雷が聞こえた。
「きゃあっっ!!?」
いつのまにか近くまで来ていたらしい。
私は、雷が嫌い。
遠くの方で雷がゴロゴロと鳴っていたから、すっかり油断していた。光っては鳴り、光っては鳴りと繰り返した。
そして、私はソファの上で蹲っていた。だから知らなかった。ブレーカーが落ちて家の中が真っ暗になっていただとか、知らない人がいただとか。雷の音が聞こえないように耳を手で塞いで、雷の光を見えないように目を一生懸命ぎゅっとつぶっていたから知らなかったのだ。
「……お前は何者だ。」
耳を塞いでいた手を無理矢理剥がされ、耳元で殺気立った声色が聞こえた。
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