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崩れ落ちるのは、何。




「フラン君、最近よく教室からいなくなるよね…。」

「それも決まって藤堂さんがいないとき。」

「中学の時はそんなことなかったよね…?わたし、同じ中学だもん。」

「何か、されたの?あの女に。」




またいつもの様に呼び出されて告白かと思っていたら女子数人がそこにいて。そんなふざけたことをミーに言ってきた。










a rooftop garden





















「藤堂、聞いてるのか。」

「はぁ、まあ。」




面倒くさい。非常に面倒くさい。

目の前にいるのは、私の…あれ、何だっけ。とにかく何かの教科の担任の先生。ちなみに男。46歳、結婚済み。つまりあれだ、私が言いたいことは、とにかく面倒くさい。




「お前もうそろそろサボるのやめろよ。じゃないと、」

「せんせー、そんなんだから子供さんにウザイって言われるんじゃないっすか。」

「なっ、」

「せっかくの可愛い一人娘なのに…。」




何で知っている、とでも言いたげな先生を見て思わず顔がにやける。そして先生がひるんだ隙に私は先生の前から走り出す。

仲良しの保健室のおばあちゃん先生に心の中で感謝した。ありがとうこの先生の情報くれて。聞いてた時にそんな情報いらねえよばばあとか思ってごめんなさい。

そしてそのおばあちゃん先生に愚痴話を聞いてもらっていたらしい担任(46)よ。哀れ。




「あっ、おい藤堂!!」

「せんせー今日は私お腹がピー子なんっすよアレの日なんすよ女の子の日!おすぎじゃねえですよピー子でっせ!では〜」




去り際にそう言い残して屋上へと向かう。あー、やっぱりここが一番心地良い。ごろん。寝転んで高い高い空の青を見つめる。すごく、落ち着くな。ここから離れろ、だなんて無理な話だ。フランも来るのにもったいないじゃないかせっかくの楽しい時間を…




「は、まて、何でフランが出てきたんだ私の思考、疲れてんのか。」




ぱん、と両頬を軽く叩いてから一人でそうやって自問自答。誰もいなくてよかった、という意味を含めてため息をついた。

ポケットに手を入れると携帯が手に当たって、おもむろにそれを弄る。フラン、遅いな。今日はもしかしてこないつもりか。

持ってきた鞄を開けてそこからガムを取り出して口に含む。暇。非常に暇だ。なんか今日はあんまり眠くないし。




「………。」




手に持つ携帯としばらくの間にらめっこ。

電話帳を開いては【学校】というフォルダに分類されている数少ないアドレス―一桁しか登録されてない。学校の電話番号と、中学の時の友達何人かと。―からフラン、というところにカーソルを持っていく。

そしてアドレスを選択しては器用にカチカチとボタンを打ちはじめた。

短くて簡潔なため十秒もかからない。




From skygreen.123@bocomo.ne.jp
To フラン
Sub ねえ
――――――――――
暇。屋上、きてくれ。







あいつが授業中だからって携帯を開かない、なんて良い子ちゃんな訳がない。

実際に、こないだの授業中もずっと携帯をいじっていた。もちろん先生には気づかれないように。その授業中私がずっと先生に念を送っていたのに。(せんせい、こいつさっきからずっと携帯いじってますけど…、きーづけーって念を送っていた。)先生は全く疑いもしないし。


けど、そのメールの返事がくることはなかった。























「おいフラン、私が珍しくメールしたっつうのに無視したなこのやろう。」




放課後、鞄を持って帰るべく立ち上がったミーの目の前に仁王立ちで少し苛立った様子でそう言ってきたのは砂羽だった。




(だから、はやく帰ろうとしたんですよー…。)




これ以上関わってはいけない、そう思っても今日一日中見なかった砂羽の姿に足が動かない。

一日見なかっただけでこんなに砂羽不足になるなんて。自分で思っていたよりもミーは砂羽に執着しているらしい。(そりゃー、初恋、ですしねー。)

でも、否、だからこそ。




「ほらまた…藤堂さんがフラン君に…」




遠くから聞こえてきた声に頭を切り替える。砂羽の様子からして砂羽は女子たちが言っていることに気付いていない。




(よかったですー…。)



だから、砂羽。ごめんなさい。大事なだからこそ。好きだからこそ。




「フラン?どうしたお前…なんかおかしいぞ、熱でも、」




あるんじゃないか。そう言いかけた砂羽の瞳を見つめる。砂羽がしっかりとミーを瞳にとらえたのを確認してから。




「もう話しかけないでもらえますー?…ミー、これから先屋上にも行かないんでー。」





言い放ってその場を離れるとミーに群がる女子たち。その中にはもちろんあの忠告してきた奴らもいて。その中心の奴に目を合わせた。






崩れ落ちるのは、何。

(フランが何を言ったのか分からない)
(これで良いんでしょー?)(これからはあたし達と遊ぼうねっ)(はー。)(あの子ばっかり独占だったんだもん!)(…それはすいませんでしたー。でも、)(?)(砂羽に手だしたら許さないから。)(っ、う、ん、わかってるよ!)

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