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それは俺が殺したから



 煙がはれて視界が開けると、


 そこは瓦礫の山だった。


 間違いだと思いたくて尋ねれば確かにここが木の葉だと言う。


 視界のすみに崩れた火影岩が見えた。


 無意識のうちに、いつも傍にいた感じなれた気配をさがした。


 「・・・っ」


 思わず眉をひそめた。


 あれほどいつも傍にいた“彼”の気配が感じられない。


 嫌な考えが頭をよぎりたらりと嫌な汗が背筋をはしった。


 「ねぇ、ばぁちゃん。カカシ先生は、里外任務かってばよ?」


 違うとわかっていても認めたくなくて思わずそうたずねた。


 彼女にたずねたのは己に甘い彼女だから嘘だとしても己が欲している答えをくれると思ったからだろうか。


 けれと、彼女が今この場所でそんなことを言わないと、返ってくる返事がわかっていながらも。


 「・・・いいや」


 あぁ、なんてことだろう。


 彼が、彼が、彼が、彼が、彼が。


 死んでしまったなんて。


 なんてことだ。


 俺がもっと早く修行を終えていれば、


 彼は死ななかっただろうか。


 俺のせいなのだろうか。


 ―・・・ナルト、


     ねぇ、ナルト?


     ナルトはさぁ


     ナルトは火影になるヨ


 彼の言葉が頭の中で反芻する。


 涙がにじむ。


 しかし目の前には彼を殺した敵がいる。


 涙をふりきり、敵と向かい合う。


 「カカシ先生、おれはあなたを」


   ―愛していたってばよ


 続く言葉飲み込んだ。


 彼を殺した俺に、その言葉を言う資格はないから。


 「・・・ナルト?何か言ったか?」


 後ろで何か言っている綱手ばあちゃんをふりきって敵へ走り出した。


 俺はあなたのことを愛していました。




 
(彼はいなくなった)
それは俺が殺したから






090121 執筆 
090209 更新 哀


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