[携帯モード] [URL送信]
出会い3



 ハーフボンゴレリングをもったあいつを追って日本に来た。


 そこで会ったのは跳ね馬と、


    沢田綱吉と呼ばれる男だった。


 頭をよぎるはひどく怯えてひ弱なあちらの大空。


 「・・・ちっ」


 忌々しい顔を意識の隅に追いやって並盛の町を駆ける。


 「・・・・!」


 ふいに現れた気配は己のすぐ後ろ。


 振り払った剣とともに背後をかえりみる。


 ガキンッ


 火花が目の前で散る。


 「おまえは、」


 黒いフードをかぶった小柄な少年。


 フードの隙間から薄い茶色の髪がおどる。


 「・・・っ」


 その色に、この少年に、シルエットに、デジャヴが重なる。


 「クスクスクスクス」


 少年は笑う、嗤う、哂う。


 「なんだぁ、お゛まえはぁ」


 その声音に少し畏怖が入っていたのは気のせいだ、と思う。


 「・・・・」


 少年は黙ったまま。


 「う゛お゛お゛お゛おおぉぉぉい、お゛まえ、なにもんだぁ」


 カキン


 剣を押してその場から離れ、向かい合う。


 「クスクスクスクス。うん。やっぱりあんたは面白い」


 月光に見えるは黒いパーカーと薄い茶色。


 ハーフパンツにスニーカーをはいた、一見普通に見えるその少年の手には細い細い金属の短い棒。


 パサァ



 少年の自らの手によってパーカーのフードは後ろに流れ落ちた。


 その姿は、


 「沢田綱吉ぃ」


 本日の日中、町に真ん中で相見えたひ弱そうな少年。


 それがいま、目の前に現れた。


 あの少年が、己に背後まで迫られても気配を感じさせなかった


 沢田綱吉だと言うのだろうか?!


 信じられない、信じられない、信じられない、


    信じたくない。


 この事実を認めるということは、ボスの敗北を認めるということだ。


 そう簡単に認めてやるものか。


 あの日、あの場所で誓った、あの誓いを。


 そう簡単に折られてたまるものか。


 「・・・・」


 しかし、目の前にいるのはまぎれもない沢田綱吉だ。


 「・・・本当に、沢田綱吉、か?」


 「クスクスクスクス」


 まるで己の心を見透かしたようにニヤリと笑うと、また再び先ほどのように嗤いはじめた。


 「おまっ」


 「ねぇ、スクアーロ。あんたを気にいったよ。


    だから、」


 目の前の彼は居なくなった。


 周りを見渡しても三日月が見えるだけ。


 「死んだりしないでよね」


 耳元で聞こえた声音はしごく楽しそうで。


 「ちっ沢田綱吉ぃ」


 沢田綱吉の首をなぎるように振るえばそこにはもう人影はなく。


 「あぁ、たのしい」


 クスクスクスクス


 笑う声と、楽しげな声だけが、どこからともなく聞こえただけだった。


それは、孤独な王のたわむれ

(これは、ボスに報告した方がいいのだろうか)
(よぎるは先程見た楽しそうで魅惑的な笑み)
(・・・・やめとこう。)






090207 哀


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!