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繋ぎ、繋ぐ物語
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 政宗と小十郎が通されたのは綺麗に飾られた庭が見渡せる広い広間だった。


 部屋までに至る廊下や各部屋にははでやかに飾り付けられていた。そして通されたこの部屋が一番ごてごてしく飾り付けられている。


 自然と政宗の眉間にしわが寄る。小十郎も心情は政宗と同じなのだろうがポーカーフェイスなのかピクリとも表情は動いていなかった。


 「それで、お願いとやらはなんだ」


 この館の主は蓮宮時砂であるにも関わらず、本人は下座に座し(ざし)客である政宗が上座に座っている、普通ならばあり得ない状況がそこに広がっていた。


 しかし本来ならば政宗が己の統治下の武家に大名である政宗が訪ねること事態がおかしいのだ。その上頼みごとだなんて図々しいにも程がある。


 「此度の御来館、まことにありがとうございます。本当ならば私が直接伺わなければ、」


 「んなごたくはいらねぇ。とっとと用件はなしな」


 不機嫌を露にしたその表情にごくりと、その視線をただ一人受け止める時砂が唾を飲み込んで喉をならした。


 「はっ、はい。ここより南にございます農村の農民達が、」


 右往左往に泳ぐ視線にうさんくせぇななどと思いながらも政宗は話し出した時砂の話に耳を傾けた。




090612 執筆
090618 更新 哀


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