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繋ぎ、繋ぐ物語
26

 夕暮れに辺りが鮮やかな朱色へと染まる中、元親はずっと瞑目していた。

 城下町からも、港町からも離れた、朝に寄った場所とも違う場所で、元親は延々と
悩み続けていた。

 この銀髪の青年は、どちらかと言えば喧嘩っ早い性格が否めない。だが、荒くれ者
を従え、四国を統一したその力は、別に彼の持つカリスマ性だけではない。棟梁とし
ての決断力、知略も持ち合わせてこそ成せた所業だ。

 そんな彼が、昼間から考え込み続けているのは、やはり竜の事である。

 親貞に言われるまでもなく、これ以上、竜の望みを弾き続けたらどうなる
かは悟っている。

 しかし、それとこれは別だと、心の中で強引に押し切ろうとするモノもある。

 如何して、自分がこれ程までに頑なに拒むのか、実のところ、元親自身もあまりわ
かってはいなかった。

 わかっている事は、竜は大切で、人並みの幸せを与えてやりたいという
事。

 その為に、彼女の光を消すような事をしても良いのか。逆に苦しめてしまうのでは
ないか。

「あー!!らしくねえ!!」

 元親は乱暴に叫ぶと、己の武器を振りかざした。

「おぅらっ!」

 胸を塞ぐ、もやもやとしたような感触を払拭する為に、あらん限りの力を込めて、
元親は八流を地中深く突き刺した。



090516 更新


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