繋ぎ、繋ぐ物語
14
長曾我部元親の四国統一から早数ヶ月が経った。
その間、竜は元親から仕事を貰ったり、一人、海辺の近くで暮らして漁業
を営んでいた。
今日も、早朝の漁業を終わらせ、今回は保存用だと魚の塩漬け作業をしている時、
ふと、不穏な気配を感じ、辺りを見渡した。
木々のざわめき、波の音。
これは何時もの気配。
風の吹く気配。
「これか……」
竜は目を細めた。
微かだが、風が不自然な流れへと吹いている。
竜は、森羅万象、あらゆる自然に精通している。そんな彼女が、自然との
不調和を見逃すわけがなかった。
「……戦が、起こるか」
瀬戸内海を巡って争っている中国の毛利と戦になるのだろう、と当たりを付ける
と、竜は急いで遠出の支度を始めた。
090504 更新
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