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繋ぎ、繋ぐ物語


 死ぬことを恐れるな。


 これは鉄則。







 あれからまた幾日がたった。

「元親様――!」

 竜が元親の家臣との稽古をやっている最中、一人の男が走って来るのが見
える。

「おう!如何した!」

 大急ぎでやってきた男は、竜の横で同じように家臣と稽古をしていた元親
の近くに跪いた。

「申し上げます!本州にて、武田が今川を討ち取ったりと!」

「何?」

 元親は稽古を一旦やめると、情報を持ってきた家臣を見遣った。

「詳しく話しな」

「はっ。……上洛を目指している武田は、目と鼻の先にある今川を討ち取る事によ
り、甲斐、信濃、上野に加え駿河、遠江を治め、徐々に領地を拡大していっている模
様」

「武田もやるなー。……ところで、毛利の方は如何なんだ?」
「特に目立った話はないのですが、………最近、可笑しな南蛮人が居ると耳に挟む程
度だそうです」

「そうか」

「アニキ、如何しやす?」

 思案深げの元親に、家臣の一人が口を開く。元親は片手をひらひらと振った。

「どうもこうも、別にする事なんてねぇーよ。今はこの平和をじっくり味わっとき
な!毛利が来たら、あっという間に大忙しだぜ!?」

「おおー!」

「おし、おめぇーもご苦労さん。しっかり休んどきな」

「は、失礼仕ります」

「おうしっ、稽古の続き始めるぞぉーー!!」

「アーニキィーー!!!」

 元親の掛け声に活気付く家臣達を見つめ、竜は深いため息をついた。



090428 更新


あきゅろす。
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