繋ぎ、繋ぐ物語
7
チュンチュン
今日もまた静かな朝を迎えた。
まだ冷える廊下をしずしずと歩く女性が一人。その歩みは1つの襖の前で止まる。物音ひとつも立てずにそこに正座し、襖に両手を掛けた。
「朝でございます。政宗様」
「・・・・」
部屋のなかに声をかけるが返事は返ってこない。
すぅ――
静かに、襖に掛けた手を右へ引く。朝日がさすこの部屋は先程昇ったばかりのそれに照らされ中の様子を伺い知ることができる。
部屋の真ん中に敷かれた褥。こんもりと膨らんでいる。いつもの光景に女性は表情を変えずにそぅっと立ち上がると、褥の傍まで歩み寄った。
「政宗様。朝でございます。起きてくださいませ」
先程よりも大きめの声で言うが、政宗が起きる気配はない。そこですぅっと目を細めた女性は手を布団にかけ、息を吸う
「政宗様!!朝でございます!」
ゆさゆさと布団を揺らし、耳元で大きな声で半ば叫ぶように言った。
「・・・ah―。うるせぇ、・・・・、凪螺・・・。・・・Good mornning」
ごそごそ動いた塊はむくりと起き上がった。
「おはようございます。政宗様」
後支度をなさったら西道場へお向かいくださいまし。片倉様がお相手なさると。そう付け加えると、凪螺は来たときと同じようにしずしずと部屋を出ていった。
「ah―小十郎か」
楽しそうな声音がだんだんとざわめく城内の、奥の一角にある部屋に響いた。
fin
090423 執筆
090428 更新 哀
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