離れたくないんだもん(スティーブ×♀ダレン+クレプスリー)純粋かな?
「クレプスリー!クレプスリーどこ?」
ぼくは家の中にいるはずのクレプスリーを探していた。
今日は親友スティーブと遊びに行くからクレプスリーに行き先を伝えなければならない。
そのためおじさんを探しているのだ。
ぼくはおじさんのことを名前で呼んでいた。別に育ての親じゃないから。
それだけの理由だ。
それより早く家を出なくちゃいけないのにあのおっさんはどこに行ったのか。
ぼくは家のあちこちを探した。
そしてやっと見つけた。
「もぅ、クレプスリー、探したよ!」
クレプスリーは地下のワイン室で優雅に片手でワインを飲んでいた。
このおっさんはぼくが一生懸命探している間、ずっとワインを飲んでいたんだ!あんたの尻に一発蹴りでもおみまいしてやりたいよ!
「おぉダレン。いったいどうした?」
「クレプスリー、ぼくスティーブと遊びに行ってくる。それを伝えに来たんだ」
じゃ、とぼくがクレプスリーに手を降り階段をあがろうとしたら、ぼくはクレプスリーに捕まってしまった。
「離してよ。ぼく遊びに行くの伝えたでしょ?」
「わかっておるが…お前また、あのスティーブと遊びに行くのか…?」
おそるおそる聞いてくるクレプスリーにぼくは大きく頷いてやった。するとクレプスリーの細い目が見開いた。
わぁ。ぼくは口を開けて驚いた。
「ダメだ。奴とは遊ぶんじゃない」
「はぁ?なに言ってるのクレプスリー?」
「ダメと言ったらダメだ。遊びたいのなら他の奴にするのだ」
「ぼくはスティーブと遊びたいの!」
この分からず屋!
ぼくはクレプスリーの手を振り払い階段を駆け上がる。スカートがひらひら舞って邪魔だが懸命に足をあげた。
こうなるなら半ズボンにするべきだった!
階段の扉に手が届きそうになった瞬間後ろからクレプスリーに捕まってしまった。脇に手を入れられ、ぐいっと上に持ち上げられてしまった。
床に足が届かない!空中だ!
「離してよクレプスリー!」
「わからんのかダレン。スティーブは危険な奴なのだ」
「なんだよ危険な奴って!」
ぼくがクレプスリーの腕の中で暴れていると目の前の扉が静かに開いた。なんと扉を開けたのはスティーブだった。
スティーブはクレプスリーを静かに睨むとぼくに手を伸ばしてきた。
「大丈夫か!?ダレン!」
「う、うん。あれ?でもなんでスティーブがここに…?」
「俺はダレンのことならなんでも知ってるさ」
「嘘をつくな!どうせダレンに発信機やら盗聴器を付けていたのだろ!」
クレプスリーがぼくとスティーブの会話に入り込んできた。ぼくはクレプスリーの発言に驚いた。
発信機?盗聴器?いったいなんのことなんだ。
クレプスリーがぼくを抱え、ぼくの靴を何やら調べ始めた。すると靴の裏側からなにやら小型の機械が一つ見つかった。赤くランプが点滅していて黒い小さな四角い物。ぼくは目を点にした。
「あ―ぁ、見つかっちまったか」
スティーブがつまらなそうにクレプスリーに言い放つ。クレプスリーはわなわなと小型の機械を握り潰した。
「貴様ぁあ!我が輩のダレンに発信機を付けおって!許さんぞ!」
「うるせえよ!ダレンは俺のものなんだよ!その発信機はな、ダレンがどこにいてもすぐ駆けつけられるように付けといったやつだったんだぞ!」
「スティーブっ…!」
ぼくはスティーブがヒーローみたいに思えた。
「スティーブ!助けて!」
ヒロインみたいにぼくが演じるとスティーブはもちろんだ、と答えた。
スティーブは背後に隠し持っていた木の棒で、クレプスリーの弁慶の泣き所を叩いた。悲鳴を上げたクレプスリーはぼくから手を離しその場にしゃがみ込んでしまった。
ぼくはすたっと床に着地することができた。
「姫!お怪我はありませんでしたか?」
スティーブがぼくの手を握りながら言ってきた。ぼくは"大丈夫よ、王子様"と答えた。
そして後ろを振り返りクレプスリーに行ってきます、と満面の笑みで言い放ってやった。
王子と姫は絶対、一緒なんだからね!
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