風花と残月
乾いた声
***
ずっと、胸の内側に埋まらない穴がある。
それを感じ取ったのはいつだったのか、もうはっきりしない。
気がつけば、雪の日には冷えた手を温めたくて、誰彼構わず体を繋げるようになった。愛情も、性別も関係ない。
体は確かに熱くなるのに、いくら触れても満たされることがない。
繰り返せば繰り返すほど、愚かな行為に没頭して、怠惰に欲を貪るだけのくだらない存在なのだと思い知らされた。
広がり続ける穴を埋めようと、余計な感情ばかりが大きくなっていくのを抑えることすらできやしない。
所詮俺は空虚で無意味な人間なのだ。
時々、そんな醜悪な自分に吐き気がする。
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