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風花と残月
3.



「い……っ」

 ギチギチと音を立てるそこが痛んで、目の端に滲んでいた涙が頬を伝った。最初に少しだけ抵抗したせいで拘束されてしまった腕の感覚が、少しずつおかしくなっていく。

「きっつ……」
「よ、すけ……マジ抜け、っ」

 勝手な事を呟いて腰を振る洋輔に、非難がましい声が漏れる。今まで何度も強要されてきた行為とは言え、ろくろく解しもせずに押し込まれては流石に辛い。

「うるせぇ」

 自由の利かない腕じゃ体を支えることすらできなくて、うつぶせた頭が床にぶつかった。ガツガツと突かれる度に額が擦れて、歯が欠けないように唇を引き結んで耐える。

 頼むから早くイってくれ。無理矢理押し込まれた圧迫感と痛みで、快感もクソもあったもんじゃない。早くこの一方的なセックスから開放されたい。
 苦痛をやり過そうと腹筋に力を入れると、 頭上でまた舌打ちが聞こえた。俺が抵抗すれば苛立つくせに、何も言わなきゃ言わないで面白くないらしい。

「……なあ。お前も良くしてやるよ」

 後ろから、俺の首筋に付いた傷を舐め上げて洋輔が囁いた。荒い息遣いが耳にかかってゾクゾクする。

「うぁ…っ、」

 痛みでそれどころじゃないと思っていたのに、体は正直なもので。股間に這わされた手にゆるゆると扱かれて、無理矢理呼び起こされた快感に思わず声を上げてしまった。

「っ……は、すげ。締まる」

 露骨な感想を口にして、洋輔の腰の動きが荒くなる。一瞬沸いた快感も、すぐにその痛みにかき消された。

「も、やめ……っ、」

 制止の言葉を言い切る前に、さらに激しく動かれて息が詰まる。痛みと息苦しさに、頭の中が白くなった。

 洋輔が俺の中に欲望を吐き出したところまでは明確に覚えている。
 そのあとも「ヤリ足りない」と呟いた洋輔になす術もなく蹂躙されて。継続する痛みに沸きあがってきた感情を押し殺している内に、少しずつ視界が暗くなっていった。

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