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◇日常(京七未来編)
「あなた…」
「はい?」
 春水は子供をあやしながら妻の呼び声に振り返り、見上げると、七緒がそれはそれは恐ろしい形相をしていた。
「…な、七緒ちゃん…皺増えるよ?」
 冷や汗を垂らして引きつり、しどろもどろに返す。
「誰が増やしているんですか。これは何ですかっ!!」
 七緒は春水に領収証を突き付ける。
「ああ…そ、それは…」
「それは?」
「いや、その…、美味しそうなお酒がボクを呼んでてネ?」
「子供もしない言い訳をするんじゃありませんっ!大体あなたときたら、仕事の時も似たような理由で無駄遣いばかりされるじゃありませんか!」
「いやあ、七緒ちゃんってば、敏腕秘書さんみたいよ?」
「話をそらすんじゃありません!これから子供も増えるというのに、いくら、隊長と副隊長で給料がそこそこあるとは言え、子供にはお金が掛かるんですよ!」
「…すっかり主婦になったねぇ」
「あなた!!」
 このやり取りは正直な所、長年八番隊の執務室で繰り広げられてきたものである。舞台が家に移っただけでなんら変わりはない。 
 だが、次の一言だけは違った。
「罰として、一週間禁酒です!」
 執務室であれば『仕方がありませんね。次はありませんよ』『これは、却下です』で済むのだが。流石に家庭のお金となれば話は違うらしい。
「そ、そんなあ〜」
 春水は途端に情けない顔つきになり、がっくりと肩を落とした。
「一秋君…お父さん怒られちゃった…」
「きゃはは」
 子供にまで笑われ、春水はさらに肩を落とす。
「…全く。一人のつもりで、いままでのつもりで使わないで下さい。私がお金を預かっている以上、無駄遣いは禁止です」
 七緒が腕を組んで宣言をする。
 こうして、春水の酒量が一気に減ってしまったそうな…。
「お酒が自由に飲めなくなった、ボクに励ましのお便りを…」
「あなた!!」


20060120〜20060131

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