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◇美味なものは…(京七)
「七緒ちゃん、あ〜ん」
「…あ〜ん」
 珍しく七緒が春水に促されるままに口を開けた。

「…美味しい…」
 七緒の瞳が輝き、期待に満ちて、春水の手元を見つめる。
「もっと欲しい?」
「はいっ」
 春水が尋ねると七緒は素直に頷く。
「はい、あ〜ん」
「あ〜んっ」

 隊首室で二人きりと言う解放感もあるからかもしれないが、それでも尚七緒の素直さには首を傾げたくなる所だ。


「甘くて、美味し〜い」
 頬に手をあて、嬉しそうに咀嚼している。
 七緒とて女の子だ。甘味には弱い。
 南国の珍しい果物を春水が何処からか手に入れてきたのだが、それがまた大変甘く美味なのだ。春水が自分の手からでなくては食べさせないと言いだし、七緒も最初は渋々だったのだが、春水の手からでも良いと思わせる程に美味で、すっかり気に入ってしまったのだ。
「七緒ちゃん、気に入った?」
「はい、とても」
 幸せそうに頷く七緒に、春水も嬉しくなる。
「はい、七緒ちゃん、あ〜ん」
「あ〜ん」

 七緒の幸せそうな、嬉しそうな表情に、春水の口元も自然に綻び、もう一つ摘み、七緒の口元へと運ぶ。

「…あ、隊長の分は…」
「気にしなくて良いよ」
「…じゃあ…あ〜ん」
 残った一欠片を七緒が摘んで、促す。
「あ〜ん!」
 七緒に促され思わず大きく口を開けてしまう。
「おいひいねぇ」
「はい」
 
「ご馳走様でした」
「どういたしまして」


 こんなに可愛い七緒ちゃんが見られるなら、また手に入れてこようかな。




台湾のマンゴーが美味すぎて浮かびました(笑)


20060623〜20060701

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