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◇菜の花(剣やち)
「きゃははは」
一面黄色の菜の花畑に、少女の笑い声がこだまする。
ひょこひょこと、黄色の間から、桃色の髪が浮かんでは消える。
やちるの背丈では、少し膝を曲げただけで、姿が消えてしまうのだ。
剣八は小高い丘の上で、やちるの様子を見ていた。
モンシロ蝶を追い掛けながら、浮き沈みするやちるの姿を。
ふいに、やちるの姿が見えなくなった。
ただ、地面を這いずっているのだと想像できるのだが…。
「やちるっ!帰るぞっ」
もやもやとした、訳の解らない気持ちが気持ち悪くて、大声でやちるを呼ぶ。
「はーいっ!」
菜の花の中から、やちるが剣八目指して一直線に駆け寄ってくる。
それが何だか嬉しくて、思わず両腕を広げ、やちるを抱き留める。
「わーいっ!剣ちゃんの抱っこっ!久しぶり〜!」
やちるは嬉しそうにはしゃぐ。
「そうか?」
「そうだよ〜」
そのまま抱き上げ、腕に座らせ歩きだす。
「ま、たまにはな」
「春だし、たまにはいいねっ!」
「ああ」
「あ、剣ちゃん、菜の花取って!」
「ん?何でだ?」
「てもちぶたさなのっ取って」
言われてみて納得する。いつも手には斬魄刀の紐を持ち、背中にしがみ付いているのだ。
身を屈め、菜の花を束ねて取る。
「一本でよかったのに」
「どうせなら、抱えてろ」
「うん!」
やちるは頷き、花束を抱えて気が付いた。
「どうした?」
「ううん!なんでもなーい!」
そういえば、はじめて剣ちゃんに渡された花は、黄色だったっけ。この花も黄色で…。
ああ、どうしよう!黄色の花が何でも好きになっちゃいそう!
剣やちにも花ネタと探して、ふっと菜の花になりました。
黄色の明るい花ってやちるちゃんに、似合いますよねw
20060403〜20060415
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